そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.177  話の話 

 
 たまに現職の先生方と会う機会があって現場の話を聞くことがある。共通していること。
「忙しい。」そうだろうなあ,大きな教育の変革があって,現場は大変だろう。
「校長先生の話が長い。」どうしてかなあ。変革の時期には話すことがいっぱいあるのかなあ。「でも,全校朝会の話も長い。」
 だいたい昔から,校長先生の話は長く退屈なものだったようだ。しかし,それでいいのだろうか。校長たるもの,どの先生よりも退屈させない有意義な話をしなければならないと思うのだが。聞いてみると,10分,20分もの校長講話もあるとか。

 私は勤務校のホームページに書いたことがあった。以下以前のものをもう少し補いながら繰り返す。これをお読みの校長先生方は,ぜひ実行していただきたい。少しでも校長先生の話を聞いてもらいたいのなら。
 
1 全文原稿を書く(1000字くらいにまとめる)
  話の内容のポイントを絞ることができ,講話時間の無駄を生まない大切な作業である。
 小学生が集中して話を聞けるのは長くて5分,したがって,話はできれば3分で収めた
 い。卒業式の話でも5〜7分までとしたい。聞いてもらえない話はしても意味がない。
 10分も20分も話すのは,えらい人の講演か政治家のくだらない演説。
2 話は一つに絞る
  二つ以上の話をしても聞く側は焦点ボケ(多分話す側も)。あるいは一つしか(ひょっと
 したら一つも)覚えていない。私が7年間してきた全校朝会の話でも,必要あって二つ以
 上の話をしたのは数回もない。3分で話せる話は一つしかないと思う。
3 ときには小道具を使うこと
 (1) 今日のお話のポイントをカードに書いて示すと便利。
   これを使うと自分も楽。覚えなくてもいいからだ。視覚に訴えるので効果も上がる。
 (2) ペープサートなどを準備するのもよい。
   低学年の子どもたちも目を輝かせる。
(3) 実物を見せる
実物に勝るものはない。訴える力は大きい。
4「がんばりましょう」はできるだけ言わない 
 「こいのぼりをあげることも昔から行われていますが,『鯉の滝のぼり』という言葉にも
  あるとおり,大きく丈夫な鯉のように,元気で勢いよく立派に育ってほしいという願
  いが込められているのです。」(平成11年5月勝谷小学校全校朝会より)
  この後に「みなさんがんばりましょう」などはいらない。子どもたちは十分感じてい
 る。それに追い討ちをかけるのは逆効果だということを知らないのだろうか。(2003.4.24)