そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.178  沖縄旅行1西表島その1 

 
  NHK鳥取文化センター自然観察教室で沖縄旅行を計画した。と言っても,昨年からだいたいのことは決まっていたらしい。具体的な話が今年になって煮詰められて,私も会員の一人として参加した。
 私は海外旅行はかなりの回数しているが,国内の旅行がその割りに多くない。沖縄は初めてだ。それだけにちょっと楽しみな旅行であった。

 朝5時鳥取駅南集合。これはつらい。郡部に住む人の宿命である。4時に起きて4時半家を出る。車の置き場所がないので妻の運転である。5分ほど走ったところで眼鏡がないのに気がついた。眼鏡がないのは致命的,観察どころか生活にも困る。引き返す。結局鳥取駅南には1分ほど遅刻で到着した。バスに駆け込んですぐ出発。ああ,間に合った。

 大阪伊丹空港から那覇まで約2時間,那覇から乗り継いで石垣島まで約50分空の旅。石垣港から西表島大原港まで高速フェリーで約45分,大型連休初日ということで,飛行機の混雑から多少の発着の遅れはあったが,那覇で同行の島袋守成さんとアイちゃんを合わせて25名は,順調に西表島に到着した。

 西表島。面積288.15平方キロメートル,沖縄本島につぐ大きさの島だが,人口は1900人,牛の方が数が多いと言う。島全体の90パーセントが亜熱帯のジャングルに覆われている。船を下り旅館に荷物を置いて,私たちは仲間川のマングローブ観察に出かけた。
 仲間川は島第2の河川で大浦港に注ぐ。河口から上流域まで海水が入り込む汽水域を持つ河川である。潮位の変化が1.5mと大きいため,両岸にマングローブが発達している。

 遊覧船の運転・ガイドはマングローブについて船を近づけながら説明してくれた。さらに私たちのグループには,島袋さんという現地の研究家,清末さんという私たちの会の指導の先生がいるから,大変詳しい説明が聞ける。
「マングローブ」というのは,汽水域に繁茂する樹木の総称で7種類あり,ここでは「オヒルギ」「メヒルギ」「ヤエヤマヒルギ」の3種類が多く見られる。ちょうど干潮で,根の様子を観察し,形からその区別を覚えた。

 私は,一昨年のマレーシアのホタル観賞(旅行記参照)を思い出していた。あの時は夜だった。カメラのフラッシュもなく真っ暗な中をエンジンの音もなく,息を潜めてできるだけ静かに,蛍の光を求めたものだった。
 今回観察の対象は植物が中心だから,そこまで気を使う必要はないし,真昼間の活動である。と言ってもジャングルに一歩入ると日はさえぎられ薄暗い。その中に樹齢四百年といわれるサキシマスオウギがあった(写真)。巨大な板根の出現に,本土とは違った自然の中にいることを強く感じさせられる。(2003.4.26) 〜〜以下次回に続く〜〜