そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.187  新緑 

 5月に入って新緑が次第に濃くなる。全山新緑,そういえばこんな景色は沖縄では見られなかった。冬のない沖縄は,木々が紅葉しいっせいに葉を落とすことはない。部分紅葉というのはあるが,やはり本土の景色とは違うのだ。

 草が芽を出し,あっという間にはびこっていく。またまた草取りにせいを出さねばならない。全体をとりおわるまでに初めに取ったところがもう草茫々の状態。一体雑草のどこにこんな生命力があるのだろうか。

 去年咲かなかったトケイソウが蕾をたくさんつけた。一昨年現在のところに植え替えたものだから,ようやく環境に慣れたのかもしれない。
 沖縄の島袋先生の家では,実がなっていた。ちょうど葡萄のように棚をして栽培してあった。あれは何か種類の違うものなのだろうか。気象環境がずいぶん違うから,育ち方にも違いがあるのかもしれない。

 毎年冬ごし,夏越しを失敗するものがいくつかある。この冬もうまく過ごせなかったものもいくつかあった。
 コンロンカ,別名ハンカチの木。沖縄でたくさん自生しているのを見かけた。
「これはなんですか。」初めて見る人は,不思議な花に見えるに違いない。花か葉か,白い花弁のようなものが点々と全体に散らばる。実はホウなのだが,この白い部分をハンカチに見たてて命名している。
 数年前に購入し,うまく育っていた。毎年白いハンカチを見せていたのに,なぜかたった一度の寒さにやられてしまった。沖縄のものを1本持って帰りたい感じだった。

 スズランの木。「世界三大紅葉樹」の一つという宣伝文句に釣られて買った。秋までは何とかわずかに葉をつけていたが,春に芽吹くことはなかった。多分,これは寒さにやられたのではなく,夏をうまく過ごせなかったのだと思う。地に植えた樹木は1年経つとまず大丈夫だという。その1年が過ごせなかったようだ。
 去年の春退職記念として植えたハクモクレンは,今年花はほとんど見られなかったが,葉はしっかりと芽吹いて健在さを見せた。

 月下美人。私の生活のリズムと合わないので,裏の片隅においていた。それでもこれまではなんとか花を見せていたのだが,ついに寒さに耐えられなかったらしい。1m50cm以上もあるものが見事に枯れてしまった。嫌いな花というわけではない。もうちょっと気にかけてやるべきだった。反省。   (2003.5.20)