そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.188  5月の自然観察会 

  5月の自然観察会は小沢見海岸で行われた。小沢見海岸は気高町のすぐ隣,水尻と白兎の間にあるきれいな海水浴場である。
 この日は主に海浜植物の観察となっている。

 はじめに海に突き出している小さな山にある神社にお参りした。お参りするのが目的ではなく,神社の横に広がる景色を見せたいとの清末先生の計らいらしかった。
 神社の西側は絶壁になっていて,小沢見海岸が一望できる。
「子供たちを連れてこの海岸に来たときには,必ずここに上がって見せてやります。」
「うーん,これはいい眺めだ。今度孫を連れて来てやりましょう。」
と,会員の一人がいう。
 東側は鳥取方面になるが,白兎の海に浮かぶ島々も美しい。

 コバンソウ,ヒメコバンソウが群生している。
「街ではこれがなかなか見られなくなって,売っているんですよ。」
「えっ,こんなものをですか。わが家の辺りにはいっぱいある。」
 白い花をつけたトベラの木がある。
「2月の節分にヒイラギを家の出入り口などにつける習慣がありますが,海岸地方にはヒイラギがありません。このトベラを使います。葉をちぎってかいで見てください。とても臭いから鬼を寄せつけないのです。」

 ハルゼミが鳴いて,ハマヒルガオが咲いている。今この花は国道の横にも今満開だ。
「ハマボウフウがこの辺りにはたくさんあったのですが。」
と,清末先生がいわれるので探してみるがない。雑草がかなり入りこんでいるので絶えてしまったのかもしれない。先生は別の植物を指しながら,
「これとよく間違えるんですよ。」見るとハマニガナである。私も海浜植物は多少分かる。他にもハマスゲ,ハマハタザオなどを観察。
 ツメクサには「詰め草」(クローバーの仲間),「爪草」(葉の形が切り取った爪の形に似ている)の二通りあること。コウボウムギは筆として使われることもあること。ハマニンニクは葉が途中でよじれ,それに従って気孔も裏表が変わること。などなど,この日も新しいことをたくさん知ることができた。

 海が美しく透明だ。これなら沖縄にも負けまい。浜のゴミが気にはなるが。(2003.5.24)