そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.191  ホタルブクロ・トケイソウ 

  雨雲やほたるぶくろは刈り残す  岡田和子


 ホタルブクロ。別名「ツリガネソウ」(花の形からついた名前)「雨降花」(梅雨のころ咲き出すところからついた名前)は分かるが,ホタルブクロはどうしてだろうか。

『花を贈る事典366日』(西良祐著 講談社)によると,「ホタルの飛び交うころに咲くことから名づけられた名前でこの命名は実感があります。袋が気にかかりますが,これは子どもたちが捕まえた蛍を,大きな花の中に入れて持って帰るところからつけられたそうです。」とある。

 実際そうしていたかどうかは知らないが,なんとなくほのぼのとした情景が浮かんできて,いいじゃないかな。
 我が家のホタルブクロもこの時期になるとよく咲く。赤い花のものが何十株,白いものが数株である。残念ながらホタルはこのあたりにはいないので,上の説を確かめることはできない。
 花言葉は「忠実 正義」とある。どうもこれはヨーロッパの神話からきているもののようだが,また機会があればふれよう。

 トケイソウについては前にも書いたが,去年一輪も咲かなかった花が,この間からたくさん咲き始めた。原産は熱帯地方だが,山陰の冬でも路地で過ごすくらいだから,かなりの耐寒性もある。蔓がどんどん延びて這い上がるので,サンルームの東側に植えて日陰を作ってもらっている。

時計の文字盤のような花びら,針のようなめしべとおしべ,まさに時計草だ。
 英語ではパッション・フラワー。直訳すると『情熱の花』,しかし,キリスト受難をあらわすともいわれ,めしべは十字かにかけられたキリスト,細い花びら(副花冠)は後光,その後ろの10枚の花弁はキリストの使徒を表すと言うのである。(『花を贈る事典366日』より) 
 花言葉「宗教的情熱 聖なる愛」というのも納得できる。

 沖縄の島袋先生の家で見かけた実のなるトケイソウは,クダモノトケイソウ(パッションフルーツ)といって種類が違うらしい。クダモノトケイソウの実は,熟すと紫色になり甘酸っぱい果汁を豊富に含み,ジュースやお菓子の材料になるという。
 我が家のトケイソウにも実がなることをひそかに期待していたのだが。(2003.6.10)