そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.192  あやめ池・三徳山 

 東郷湖畔のアヤメが満開だ,と我が家で取っている新聞2紙ともに出ている。私はその近くの学校に勤めていたことがあるので,このアヤメの時期に1・2度歩いたことがあるが,確かに見事なものだ。久しぶりに行ってみよう。
 あやめ池公園は,近くの屋内運動場と合わせて県立の施設である。つい最近メダカについてのシンポジウムが開催され,メダカの池も作られているとか。

 東郷湖の水をうまく利用して植えられているハナショウブは約3万株,行ってみると満開には少し早いかもしれないが,確かに素晴らしい。新聞による宣伝効果もあったのかかなりの人出である。

 池の回りにいくつか日本庭園をつくっているのを見かけた。聞いてみると,明日明後日とイベントがあり,そのための準備だという。イベントが終わると庭園は取り払われ,次のイベント会場に移動するという具合なのだそうだ。そうか,明日くればよかった。花の苗ももらえるというのに。
 メダカの池にもよって見る。まだ作られたばかりの感じだが,小さなメダカ,大きなメダカ(といってもメダカはメダカ)が群れをなして泳いでいた。

 ついでだから三徳山に行ってみようか,ということになった。
 三徳山は三朝町の東部にある標高899.7mの山である。しかし,「三徳山」と言えば三仏寺投入堂が有名である。投入堂は三徳山の中腹470mの絶壁に建てられている。役行者(えんのぎょうじゃ)が法力で堂を岩窟に投げ入れたという伝承を持つ。かなり険しい山道であり,しかも絶壁の途中に堂を建築するというのは確かに相当の建築技術と動員力のある者のなせる業であろう。
 この日は突っ掛け履きという軽装だったので,途中までも登らず下の食堂で昼食をとることにした。鱒の塩焼きと山菜料理がなかなかうまかった。豆腐も,ここのものはちょっと名前が知られているだけにうまい。

 峠をこえて鹿野にぬける。途中,俵原(たわら)というところで少し散策。ここは俵藤太伝説のあるところで,俵藤太秀郷の墓もある。墓所はきれいに掃除がされていた。
 20年以上も前に,5月の連休になると蕨を採りによく来たものだった。そう思って少し山道に入ってみるが,6月にもなると雑草が繁っていて,歩きにくい。蕨も延びていて収穫は期待できそうにない。引き返してもとの道へ。ウツギが満開だ。
 初夏を目と足と舌で満喫した一日であった。(2003.6.5)