そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.194  6月の自然観察会 

 
 6月の観察会は国府町の河合谷高原の予定であった。集合場所の国府町役場前に20分前に到着。まだ誰も来ていない。隣は宮ノ下小学校である。一昨年ここで県の国語の研究会をしたことがあった。私が会長をしていたのでよく覚えているが,今日は土曜日なので庭木の手入れをしている人がいるだけでひっそりとしている。

 しばらくして清末先生など数人が到着した。
「河合谷までここから歩くのですか。」とたずねると,
「いや,道が分からないという人が多いので,いったんここに集まってそれから車で行きます。時間があまりないから,雨滝付近での観察にしようと思っています。」と清末先生。
 やがて定刻にはほとんどの人が集まったが,沖縄旅行の始末などをしていたら,さらに時間が過ぎてしまった。

 旧成器小学校を過ぎて上地(わじ)の近くに菅野湿原がある。ここは,県自然環境保全地域に指定されていて,オオミズゴケ,モウセンゴケ,カキツバタなどの湿原植物が群生しているという。ここでは,ハシゴシダ,ミズゴケ,ギボウシ,花の時期がおおかた終わっていたがカキツバタなどを観察した。
 カキツバタについては,「いずれがアヤメかカキツバタ」というくらいで,よくその違いが話題になる。私は以前勤めていた学校の近くに「あやめ池」があったので,このことについては調べて知っていたのだが,先生から「アイリス3種の比較表」をもらって確認することができた。

 次にその近くの酒賀(すが)神社の境内で観察をする。この神社は旧大茅村の郷中一ノ宮と呼ばれ,菅野大明神とたたえられているそうだ。
 本殿に至る坂道には,たくさん観察するものがあった。
 ホウチャクソウが白い筒型の花を下垂させている。我が家にも少しあるユリ科のこの植物は,漢字で書くと「宝鐸草」,宝鐸とは堂塔の四隅の軒にかけた大きい鈴のことという。

 その他にカエデの仲間の種子の形による見分け方,チャボガヤとハイイヌガヤ(いずれも多雪地帯の地表植物)の握った感じでの違いなども分かった。植物を知るのには五感を働かせなければならない。
 ユズリハが古い葉から新しい葉への交代をしているところだ。イワガラミが杉に巻きついて高く上り,花をつけている。まるで違った植物に出会ったようだ。

 結局この日の観察は雨滝までも行けずここで終わった。 (2003.6.14)