そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.201  梅雨空に蝶の乱舞(7月自然観察会) 

 今年の梅雨はまことに梅雨らしい梅雨,ジメジメとシトシトと続いている。
 そんな中,7月自然観察会は岩美郡福部村の海岸で行われた。鳥取砂丘オアシス広場集合。岩戸漁港に移動して滝ケ磯海岸まで山道を越える。道もまわりの草木も雨にぬれて靴もズボンも泥だらけ。
 途中清末先生は一匹の蟹を捕まえた。
「これはアカテガニです。ベンケイガニとよく似ていますが額(ひたい)が違います。」「この蟹も,川の蟹のすべてが海で産卵します。」

 小さな木の枝に黄色のキノコを見つけた。
「これは何に見えますか。押しピンに見えるところからビョウタケ(鋲茸)と呼ばれています。」

 滝ケ磯海岸に出る。海に向かって,滝の水がシャワーのように落ちている。
「この滝の上には池があってこの滝の水はそこから流れ落ちてくるのです。『駒が池』といい,昔その当たりで馬を飼っていたところからついた名前です。」
 ここで育った馬の中には,その昔富士川の合戦で先陣を競った「池淵」もあったとか。

 砂浜の部分は小さく,崖下から海に向かって大小さまざまな石がごろごろしている。色も形も変化に富んでいるが,風化して丸みを帯びたものが多い。
 黒曜石が入った岩石が観察できるという。黒くガラス質の岩石で,古代人が石器として使ったものだ。小さなものは散見するが,古代人が庖丁に使ったような大きさのものは見当たらない。そう思って探していたら,
「あった!。」
 長さ10pあまりの割れ口がきらきらと光る黒い石を見つけた。そのまま庖丁にでも使えそうな割れ方をしている。清末先生に見てもらうと,
「ああ,これはいい。こういう風に物を切ったんですよ。」
と実際に使って見せてくださった。

 帰り道,蝶が乱舞しているところに出会った。雨が上がって,蜜を求めてやってきたのだろうか。ミヤマカラスアゲハ,モンキアゲハ,アオスジアゲハを捕えることができた。
 展望台のまわりには,ユウスゲが今日本海に向かって咲きはじめている。