そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.202  プリムラ 

 毎年種から育てているプリムラ・マラコイデスが1回目の植え替えの時期を迎えた。このページでも何度か取り上げたこの花を,私は学校で15年以上も作りつづけてきた。卒業式や入学式を飾る花として格好の鉢花だ。

 6月種まき,7月植え替え@,9月植え替えA,10月鉢植え,12月ごろから開花し始め,2月から3月には満開になる。4月の入学式頃まで花を持たせ,5月ごろに種取りを行う。もちろん肥料,水やりなどの作業もあり,山陰のこの地では防寒,雪対策も考えておかなければならない。しかし,種まきや植え替え@は私一人でやるとしても,後の仕事は子ども達といっしょに行えばいいから,それほど難しくない。だから,退職した今も200〜300くらいの苗は作ることにしている。

 種は非常に小さい。5月の天気のよい日,実った穂をもみつぶすようにして紙袋に入れる。そのまま乾燥させてさらに揉むと種が袋の底に黒い砂粒のように溜まる。
 種まきは,それを指でつまんで播き床にパラパラと播く。酸性を嫌うので土には少し石灰をふっておこう。厚くならないように播くのがコツだが,種が小さく見えにくいから難しい。
 発芽には1週間はかかる。たいてい厚まきになっていて,びっしりと隙間なく芽を出す。発芽後,時々所々間引いておいてやると植え替えの作業が楽になる。
 本葉が3枚くらい出たところで第1回の植え替え(写真)。間隔を2・3pとって植え広げる。これも細かな作業である。この作業を少し遅らせて植え替えを1回省くこともできる。しかし,根が発達して絡み合ってからの作業になると根を痛めることもあるので,「間引き」とあわせて作業を考えておくのがよい。

 第2回の植え替えはビニールポットに植えつける。根が広がって発達しているから痛めないようにポットに広げて植えつけ,株もとに土をきちんとかけてやる。これは定植のときも同じである。株もとの土がしっかりしていないと,花が咲くようになってから全体がふらふらして倒れやすくなる。

 10月の最終植え替えは,5〜6号鉢に1株,あるいはプランターに3・4株植えればよい。儀式用だと,鉢植えしたものをプランターに入れて並べることもある。用土は,最近は鉢や花壇に適当な土を売っているからそれを使えばよいが,4・5ヶ月もの長い栽培になるので,途中1・2度の追肥は必要である。

 学校で難しいのは長期休業中の水やりである。屋内にしか鉢物を置けない場合,特に当番職員のない日(年末年始等)の植物管理を誰がするか。そのことは事前に考えておかなければ最後になって泣きを見ることになる。
 私としてはこれまでの経験から年末年始に1・2度学校内外の巡視を兼ねて,管理職がやるのが適当だと思っているのだが。どうですか先生方。
 いい雰囲気の卒業式場を作るためにもそのくらいのことはしてもいいのじゃないかなあ。