そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.206  ラジオ体操 

 学校が夏休みになって,ラジオ体操の季節がやって来た。ラジオ体操については,平成13年7月に,逢坂小学校のホームページにも書いているので,そこからも少し引用してみよう。

 ラジオ体操は「国民の体力向上と健康の維持・増進」を目的にして昭和3年に始められた。現在のラジオ体操第1は昭和26年(1951),第2は27年(1952)に制定,放送を開始している。「ラジオ体操の歌」も初代は昭和6年(1931)に発表,現在のもの(「♪新しい朝がきた♪……」藤浦洸作詞,藤山一郎作曲)は昭和31年(1956)発表のものである。(かんぽアラカルト「ラジオ体操の歴史」より要約引用)
 
 私が3・40代の教員のころ,ラジオ体操は体育の中にしっかりと位置を占めていたように思う。運動会などの体育的行事では必ず準備運動として行われていたし,ラジオ体操の正しいやり方について先輩から教えられることもあった。夏休み前には子どもたちが正しい体操ができるよう何回か練習の時間を持った。
 正しい体操の指導か早起きの指導かは別にして,とにかく親は時間になると子どもを起こし,子どもは体操会場にかけつける,これが日課であった。夏休みが終わると出席カードは学校で回収し,出席状況がよければ表彰する。

 しかし,今そのような姿は少ない。
「町内会や子ども会の活動が停滞する中で,夏休みのラジオ体操も,毎日ではなくなって
 いる」(平成13年7月17日付朝日新聞 文化総合ページJ-culture-now!「ラジオ体操」より)
 夏休みのラジオ体操をしているところでも,土曜・日曜・お盆3日間は休みとか,中学生は参加しない,ということが多い。「町内会や子ども会の活動の停滞」ということもあろうが,「全体よりも個人優先」「易きに流れる」風潮がここにも見られるのだと思う。

 勝見のラジオ体操はかなり長い歴史をもつ。子ども会の活動のなかにも位置付けられ,表彰をされたこともある。今年2月の正和会でも,表彰者の中に38年間ラジオ体操を続けてきたというお年寄りがあった。勝見ではラジオ体操を年中通して行っている。夏休みだけの行事ではない。それを38年続けるというのは確かに表彰に値する。普通に勤めのある人にはとても出来ないことなのである。
 私も現職のときには,日々の仕事に追われて朝の時間を割くことは出来なかった。おそらくほとんどの人がそうなのだと思う。

 久しぶりにラジオ体操の時間に会場に行ってみた。親子合わせて30人あまりの人が来ていた。代表の子どもたちが前に出て全体の指揮をする形をとっているが,本当は彼らにはそんな力はない。大人も交じって指揮をするといいのだが。まあこれも形式か。
 それでも早朝のこの時間,これだけの人数がやっているのはがんばっている方かな。
 時間の無駄と思うかもしれない。でも,保護者はもちろん他の大人も,こんなことにもう少し動いていかないと今の子どもたちはとんでもないところに行ってしまうのではないか。地域の身近なところからの教育の必要性を感じる。