そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.215  保幼一元化(市町村合併あれこれ2)

「ちょっと頼めんかいな。」
と,町教育長から電話があったのは一昨年のことだった。保育所,幼稚園の今後の在り方について協議をする会を立ち上げるに当たって,その会のメンバーに加わって欲しいということであった。特に他の大きな仕事もしていなかったので,
「私にできることかどうかわかりませんが。」
と,引き受けた。

 知られているとおり,保育所は厚生労働省,幼稚園は文部科学省の管轄であり,基本的にはその保育・教育方針は異なる。簡単に言うと,保育所では0〜5才の乳幼児で家庭での保育が困難である場合の保育,幼稚園の場合3〜5才の就学前教育を目的としている。
 気高町では,0〜4才児について2つの保育所で預かっており,5才児については2つの幼稚園で預かるというちょっと変則的な保育・教育を行ってきた。
 私は,以前勤めた東郷町でも気高町でも,保育所・幼稚園それぞれに力を発揮して保育・教育に努めていた姿を見てきた。

 しかし,保育所・幼稚園のこのようなやり方に対して,保護者からさまざまな要求が出てきた。保・幼の年令によらない自由選択,時間外保育・教育の拡大,保育料の問題,施設の狭小・老朽化などなどである。
 加えて市町村合併が目の前にやって来た。現在の鳥取市は公立の幼稚園を置かないという方針で幼児の保育を行っている。合併は鳥取市への編入合併であり,鳥取市の考え方が中心になるとすれば,上記の問題もあわせて幼稚園が今のままで生き残る道は少ない。
 私が加わった「保幼再編検討委員会」も,全国各地で実践されている事例も参考にしながら真剣に話し合った。

 そもそも同じ子どもをとらえて,文科省だの厚労省などと言うこと自体おかしいのではないか。さまざまな面から協議し次のような答申を出した。
 町内の保育所・幼稚園を統合して共用化することで進めてほしい。いわゆる保幼一元化である。そのための統合施設は町内に2ヵ所必要である。従来の「保育所的な扱い」は0〜2才,「幼稚園的な扱い」は3〜5才とする。
 ぜひこの答申は受け入れてほしいものだ。

 政府が保幼一元化を打ち出してきていた。しかし,政府が金を出さまいとして「地方押し付け」が見え見えなのが情けない。国は,今もっとも大切と言われている乳幼児期の保育・教育に金を惜しんではならないと思うのだが。      (次回は公民館)