そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.217  盂蘭盆

 退職して2年目にもなると,入学式とか始業式・終業式,夏休み,全校朝会,業間活動というような学校中心の感覚がだんだんなくなって,曜日意識も薄れてきた。しかし,盆行事などは昔から家庭や地域で行われているものなので,かえって退職してからの方が身近なものになってくる。

 盂蘭盆 陰暦7月15日を中心に行われる仏事。祖先の霊を自宅にむかえて供物を供え,  経をあげる。現在では,13日夜に迎え火をたいて霊を迎えいれ,16日夜に送り火で霊を送る。(小学館『日本国語大辞典』)

 我が家にはまだ仏も神もない。まあ最初にそちらのお世話になるのは私だろうから,今のうちにそちらのこともできるだけ知っておかなければなるまい。というのは冗談として,私の父母の墓(先祖代々の墓も)がすぐ近くにあるので,掃除くらいしておこうと道具を持って出かける。

 行ってみると既に兄夫婦が掃除を済ませたらしい様子。境界の珊瑚樹の垣根が少し乱れているのでこれを刈りこもうか,と鋏を入れたところ,
「痛い!」
 驚いた。蜂の巣に当たったのだ。アシナガバチらしい。直径10pほどの巣を作っていて,相当の数がいる様子だ。これ以上いられないので引き上げる。刺された手の甲は腫れあがって痛々しい。久しぶりの痛みだ。腫れと痛みはその後5・6日も続いた。

 16日は勝見の盆送りの行事。
 送り盆 盆の16日,精霊棚に供えたいろいろの供物を,蕎麦や真菰の舟に載せて川や海へ流す。また,灯籠流しをするところも多い。(平凡社『俳句歳時記』)

 各家庭でやっている所が多いと聞く。ところが,勝見では,川や海に流さず燃やしてしまう。正月のとんどさんと同じやり方だ。これも勝見役員の仕事だという。送る仏も神もない家も多いだろうに,何でそんなことまでしなきゃならないのかと思うが,そんなことを言っていても始まらない。

 朝6時ごろに広場に行って準備。供え物はそれぞれの家庭から持ち寄られ積み上げられた。たまたま後始末も私の所属する班だった。燃え残ったものを見ると,堤燈の針金,電球など,燃やしてはならないものがいっぱいある。だめだこれは。ゴミの分別など全く考えていない住民が多いこと。情けない。