そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.218  異常気象

 ここになって30℃を越える暑さが続くようになって,やっと夏らしくなったかなと思ったら,もう秋になっていた。
 異常気象である。ヨーロッパの異常高温が世界のニュースになっているが,日本の低温も半端ではなかった。10年前(1993年)の記憶はまだ新しいが,そんな予感もしてNo.204で私は書いた。

「もっとも, 5月30日が梅雨入り,梅雨明けが特定できないまま7月・8月が過ぎ,たいへんな冷夏になった1993年の記録は番外である(日本気象協会中国支店『平成13年山陰の気象の暦・統計』より)。このときの冷害はたいへんな問題となった。米不足となり,地球が氷河期を迎えるのではないか,とも言われたほどである。」
 その不安が現実のものになりつつある。稲作の状況は東北地方以北は厳しく95以下というし,鳥取も97とか。10年ぶりの冷害になりそうな気配だ。

 ただ,少し長期的に見ると簡単に異常気象と決めつけるわけにもいかない。昨年の冬は11月には初雪を見て,どうなることかと心配した。しかし,1・2月の雪は少なく,その面では楽な冬を過ごした。といっても去年のように春が早くやって来たわけでもなかった。桜は4月になってからの開花だった。

 こうして見ると天気はどこかでバランスをとっているのかもしれない。私達は少し極端な現象に出会うと,「異常だ」と思ってしまう。確かにその現象そのものは「異常」に違いないが,長いサイクルの中の一事象かもしれないのだ。
 自然というのは我々の考えの及ばぬところにあって,時に「異常気象」をちらつかせ,人をためし,確かめる。

 それでも7年目に顔を出した蝉は,どこかの木にしがみついて盛んに自己主張している。短い夏であるだけに蝉たちも必死なのだろう。
 なぜか今年はアゲハが多いように思う。
 我が家のサンショウの木にはいちどに5匹もの幼虫がついて,完全に食い尽くしてしまった(何本かあるサンショウのうち,卵を産みつけられるものは決まっている。)。しかし,サンショウも負けてはいない。新しい芽を出す。すると,またアゲハが卵を産みつけ,幼虫は葉を食い尽くす。
 キアゲハだけではない。モンキアゲハも,アオスジアゲハも,カラスアゲハも,今年はずいぶん多く見かけた。冷夏とは関係のないことなのかもしれないが。
 残暑お見舞い申し上げます。