そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.221  残暑

 暑い。さすが日本の夏だ。スイスではこんな暑さは感じなかった。アルプスの山岳部では確かに気温が低いのだが,ジュネーブなどの低地でもこんなに気持ちの悪い暑さは感じなかった。湿度の違いからくるものだろう。帰国して汗ジトジトの生活にうんざりしている。
 それでも明け方には雨があったりして,次第に秋の気配を感じる。

 畑は夏から秋に移りつつある。今年は冷夏の影響で,トマトがさっぱりだめだったが,今になってミニトマトが熟れてきている。もっともこれはこぼれ種から大きくなったもの。ナスは一時だめになっていたが,盛り返して今最後の実をつけている。
 地這いのキュウリが実をつけてきている。スイスから帰ってようやく収穫というところ。
 ゴーヤはもう少しだけ実をつけている。まずまずのできだった。オクラはまだまだ元気でこれからの収穫が見こめそうだ。
 インゲンも遅くなって播いたがなんとか少し収穫を見ている。

 旅行の前に準備していたところに秋野菜を作る。
 ダイコンは去年まずまずのできだったのに味をしめて2うね播いた。下の土があまりよくないのでいいものにはならないが,家で食べるだけだから心配ない。
 ブロッコリーの苗が売られていたので買ってきて植えた。またアオムシに悩まされるかもしれないが,やっぱり畑にはほしい。
 アオジソはあちらこちら勝手に大きく育っている。ちょっとした薬味に使えて重宝しているが。

 ヒマワリの陰になってサルビアが余り元気がなかった。アゲラタムはずいぶん広がってよく咲いた。オミナエシ,キキョウ,ハギはしっかり秋を主張している。
 ナデシコの苗を数種類買って植えたのだが,夏の初めに咲いてしまった。秋の七草というより夏の植物である。
 大きな株になったコスモスも咲き始めている。

 雑草は元気がいい。道端には去年まで除草剤を使っていたが,今年は草刈り機で刈った。しかし,10日もすると延びてくる。手で抜き取ったところも,取っては生え,取っては生え。どうしてこんなに生命力が強いのか。限りのない雑草との戦いである。
 ツクツクホウシの鳴き声が目立つようになった。夏が終わる。

   朝風や声あたらしき法師蝉  千代田葛彦