そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.225  町に小さな図書館ができた

 念願の図書館がようやくできた。市町村合併に絡んで図書館設置はどうなるか,ということを先日もこのページに書いたが,話はとんとん拍子に進んで気高町立図書館がオープンすることになった。
「とにかく,思いきって走り出さんといけん。」
 教育長が話していた言葉だ。そうだ,何事もスタートしなければ始まらない。

 話は平成6年4月,「くらしの中に図書館のあるまちづくり」推進事業の指定を受けたところから始まる。以来10年間,全国各地の図書館視察,図書館設立に向けての各種研修会・講演会の実施等数多くのことに取り組んできた。
 しかし,ことはすぐにはならなかった。いろいろな理由はあろうが,もっとも大きかったのは「住民の図書館に対する意識・関心の低さ」だと思う。必要性を感じていない町民が多かったのだ。金の儲かるもの,目に見えて効果のあるものや楽しめるものなどに対しては「ぜひつくってほしい」と言うが,図書館についてはそのような気持ちがわかないらしい。それを乗り越えるのが大きな課題だった。
 紆余曲折はあったがなんとか町立図書館開設にこぎつけた。

 10月1日オープンに向けて,準備が忙しかった。私も図書館設立応援団「図書館フレンズけたか」に参加している。何か手伝いできることはないか。1週間前に図書の配架が始まった。教育センターで半年した仕事だからこれならできる。22000冊の蔵書のうちの20分の1程度かもしれなかったが,半日ずつ3回のお手伝いができた。
 私の詩集『空の山』も郷土資料として寄贈した。

 開館当日は快晴だった。教育長は,
「天気がよすぎて暑い。」
と,話していたが,こんな日は晴れるのが最高の自然からの贈り物だ。
 蔵書冊数22000の小さな図書館である。でも,10年間もの長い間議論を重ねて日の目を見たわが町の図書館である。町民一人一人の小さな力が一つに結集した象徴と言えるのかもしれない。

 小さな図書館を大きく育てていくのは私たちである。これは決して上から与えられたものではない。私たちが作り育てていくのだという気持ちで,利用し見守り提言するなど,できること・必要なことから活動していかねばならないと思っている。