そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.229  花の辞典

    エノコログサ
またの名をネコジャラシ
昔からこいつは
犬でもねこでも
人でも相手にして遊んでくれる
愛嬌のあるやつだった
握り締めると思い出が
もぞもぞと動き出てくる           ※ エノは犬の転訛したものという
                          花言葉は「遊び 愛嬌」 
   コスモス
背高く空に伸びて咲いている
コスモス(COSMOS) 宇宙
ゆらゆれて 秋桜 
日が短くなると 
小さな飾りをいくつもつけて
せいいっぱい明るくふるまおうとする
乱れて咲いて
混沌とする 乙女の真心           ※ 「乙女の真心」コスモスの花言葉

   ホトトギス
あの搾り出すような鳴き声が
不如帰の胸を染め
季節のちがう野に咲く
花びらをも染めた
ああ 私は永遠にあなたのもの    ※ 「永遠にあなたのもの」ホトトギスの花言葉

   ヒガンバナ
ヒガンバナは
いつのころ暦を覚えこんだのだろう
太陽に向かって
茎よりも葉よりも 真っ先に立ちあがり
燃え上がり燃え尽きて
打ちのめされる
Lycorisの 悲しい思い出         ※ 「Lycoris」は属名 女神リコリス
                         「悲しい思い出」ヒガンバナの花言葉

   花言葉は西良祐著『花を贈る事典 366日』(講談社)による