そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.231  大山・蒜山観察会1

 自然観察会は毎月第2土曜日の午後に例会を持つことにしている。しかし,沖縄でお世話になった島袋先生をお迎えして,特別会を持つことになった。会場は大山を中心とする地域。前日には定例会を池田家墓所付近で持ち,連日の会にもかかわらず,沖縄に行った会員の多くが参加した。

 心配された天気も晴れて暑いくらいである。私は途中乗車なのだが,清末先生が調子よくガイドをしておられた。鷲峰山,姫路百手の神事,魚見台,因習和紙,上寺地遺跡……。もちろん私にとっては地元のことだから,すべて知っていることだが,県内のことであっても知らない人も多いのではないか。県内客相手の観光バスにもこんなガイドが必要なのかもしれない。

 最初の見学地は鳥取花回廊である。私が前回来たのは何年前だったのだろう。あの時は大山をバックにポピーが満開だった。今回は同じ所にサルビアが一面に咲いている。コスモスも満開,菊も咲き始めている。

 しかし,今回のメインはそこではなかった。観光客が歩くところより少し北の方に広がる自然庭園(「自然を自然のままに生かす庭」とでも言ったらいいのだろうか)であった。できるだけ自然に近い条件で,そこにあった植物を育てて見せる場所である。サンインギク,ヘイケイヌワラビなど初めて聞くものもあったし,カタクリにも出会えた。これは,鹿野町町長の川瀬さんが「鹿野のカタクリも植えてある」と言っていたものだろうか。 
 秋の七草を集めているところもあった。キキョウが満開である。秋の七草は万葉集の「萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなえし また藤袴 朝顔が花」から取っているものだが,「朝顔がなぜ桔梗か」という話は興味深い。

 花回廊を後にして大山に向かう。桝水原付近での観察。
 秋とはいえ,まだまだ見るものは多い。エノコログサも普通のキンエノコログサに対してホナガキンエノコログサは穂がずっと大きい。カゼクサが風にゆれて涼しい。花回廊の辺りは道路べりの温度計が28℃を示していたが,ここはずっと低いようだ。

 ショウリョウバッタとコオロギを捕まえた。早速耳(鼓膜)の観察。種類によって場所が異なるという。また,呼吸器官は口や鼻とは限らないということ,脚の付き方と食べ物との関係,産卵管の形体と産卵場所の関係などを学習。
 マツムシソウが咲いている。三瓶山でも見たが,ここにはたくさんある。掘り取られてしまって,少なくなっていると聞いたが「心配ないじゃないの」と思っていたら,栽培されているものだという。
 カワラナデシコやリンドウもところどころに彩りを添えていた。
 大山自然科学館に行く途中,家々の庭に植えてあるダイセンキャラボクの赤い実を口にする。ちょっぴり甘い。種を播いてみようか,鳥取県の木なのだから。

 宿は「不老園」という古い宿坊。大山おこわなどの夕食後,囲炉裏を囲んでみんなで歌う。年齢が50代以上のグループには,共通した歌が多い。若者には,どうか。(続く)