そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.233  京の旅1

 京都旅行を友達と計画していた妻が,
「友達の都合が悪くなったのでいっしょに行かない?」
と誘う。「スーパーはくと」もホテルも予約しているので,キャンセルするのはもったいない。それに旅行のメインのミュージカル観劇「美女と野獣」はぜひ見たいらしい。
 このところ私は旅行続きなので少し休みたいところだが,まあ付き合うか。
 というわけで突然の1泊2日京の旅となった。

 去年の11月にも洛南を中心に京都を訪ねているが,今回はなんの計画もない。とりあえず京都市美術館か近代美術館に行って,その後は何かを考えようということで当日を迎えてしまった。
 観光バスも観光タクシーも考えていない。市バスで観光して見よう。美術館の近くに南禅寺がある。その辺りで3・4時間は過ごせそうだ。

 市バスは結構混んでいた。後ろの方に座ったものだから,どこで降りたらいいものやら,乗車料金はどれだけやら分からない。心配なので途中座席から立って前に出ると,もう美術館の近くにきていた。220円なり。
「市バス1日乗車券500円」と広告が貼ってある。なるほど,この方法だと市バスに何度乗っていても500円ですむ。今度来るときはそうしよう。

 昼食の場所は決めていたので,バスを降りて見回すと,あった。この店では「にしんそば定食」が旅行雑誌に出ていたから注文する。でも,なんで「にしん」なんだろう。温かい蕎麦に鰊がドンと乗って出てくる。松茸を少しだけ乗せたご飯が出て,なかなかの秋の味を味わう。
 美術館の行動展は予想以上によかった。たまに来ていた作家なのか,あるいはこの展覧会の順番当番だったのか説明の人が自作他作の説明をしている。
 しかし,しゃべり過ぎるのは美術に適さない。

 南禅寺は,臨済宗南禅寺派の総本山。伝説の大泥棒・石川五右衛門が「絶景かな……」と見得を切ったと言う門から町を見るが,そんなに京の町は見えない。近くの木が延びていて,遠景が見えにくいのだ。
 去年11月4・5日に来たときにも紅葉には早かったから,ほんとうの紅葉の京はこれからだ。

「美女と野獣」。
 2004年6月まで延長して公演を続けるとのこと。京都劇場は京都駅の中にある。S席といっても最後列だった。満席といいながら隣はすべて空いていた。旅行業者か何か買い占めているのだろうか。劇団四季とディズニーのミュージカルということで,子ども連れも多かった。
 1年を越えるロングラン。演技もさることながら,舞台装置のものすごさに驚く。
 私たちはわざわざ京都まで来なければ見ることができないショーだが,1年に一度くらいなら見る価値はあろう。(続く)