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これまでにも何度か取り上げている勝見薬師堂。本尊は東方瑠璃光薬師如来で,薬師堂本堂に「宝永2年(1705)」と記されている仏龕(がん)に納められ祀られている。京都の仏師の手によるもので,町文化財に指定されている。なお,この御本尊は仏龕から出ることはなく,誰の目にもふれることはない。 さて,その薬師堂である。屋根が傷み,雨漏りするところもある。建物自体もずれや狂いが生じている。修理しなければならない時期に来ていることは確かだ。 ただし,果たして300年前の建物かということになると,それは誰にも分からない。少なくとも数十年前の建て増し工事などは記録にも残っているのだが,柱が300年経ったもの,などということは不明なのである。 しかし,ともかくそれについて検討する委員会が召集された。しかし,先ほどの考えが大勢を占め,さらに,ほんとうに今工事に踏み切らなければならないのか,それに関する資料が欲しい,という。つまり,薬師堂の管理を勝見がするにしても,工事を来年しなければならないのか,どれだけの金がいるのか,多少でも専門的な目で見た資料がなければ検討のしようがないというものだった。 早速地区内の建築関係者を集めて現場査察を行った。300年経過しているかどうかはわからなかったが,確かに傷みは相当のものだった。工事は何度かにわたって行われたものらしく,軒が2段になっている。瓦はすべて取り替えねばなるまい。土台にも手を加えねばなるまい。天井には屋根の土が相当たまっているらしい。等々。 「区長さんが考えておられるような予算では,とてもできないと思いますよ。」 |