そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.255  外灯(大学時代の同窓会2)

 私が今の土地に住んで約30年になる。このあたりは勝見地区でも新しく住宅地になったところで,だいたい似たような頃に家を建て住み着いた人たちの集まりである。我が家は車の音がうるさくないようにと,町道から少し入ったところに建てた。町道から我が家の玄関までは私道(私の所有地ではない)である。
 そこに一つ問題があった。
 
 犯罪防止ということがあって,夜の道を明るくすることが進められている。要所要所に外灯をつけるために,住民は場所の提供をし,町が外灯設備の費用を負担することになっている。また,月々の電気代は地区自治会が支払うが,一般の電気料金に比べて非常に安い。ただし,外灯設置場所は公道(または,公道に面している場所)に限られている。
 従って,いくら「暗くて困る」と言っても「あそこは私道だから」という理由で退けられてきた。
 さらに悪いことは重なる。町道に面して工場があり,外灯をつけていた。ところが最近の不景気,工場を閉鎖し外灯を消してしまったのである。町道から我が家まで暗い道を歩くことになった。

 仕方がないので私の家の外に蛍光灯を一灯つけて,外灯代わりにした。町がつけてくれないから私費でとりつけ電気代も支払ってきた。近所に家が何軒かあり,私道だといっても通りぬける人もたくさんあるのだが,我が家でできるだけのことはしよう,と考えたのだった。

 ところが,ここ数年になって状況が変わってきた。それは下水道の設置である。町内すべて下水道を完備することになり,我が家のあたりにも下水道管が通った。
 各家庭にもつながなければならない。これも私有地を通す場合は,すべて個人負担となる。我が家は何年か前から個人で浄化槽を設置し,水洗便所にしていたので,本管につなぐのにはそれほど大きな負担はないが,かなりの負担になる家もある。
 結局私道の所有者が一部を町に提供して町道とし,そこまで本管を通し,それから各家庭につなぐことになった。

 この一部町道に代わったことを外灯設置にも利用することにした。班からの要望事項に取り上げてもらい,勝見の要望事項に入れてもらう。
 実際の工事は,公民館工事やら何やらいろいろあって年末になってしまったが,11月の終わりにやっと外灯がついた。
 こうして30年もの長い辛抱だったが,家の回りがちょっと明るくなった。