そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.26 みどりのかぜにのって

 ゴールデンウイークには,どこかに行かなければとか,何かをしなければとか考えるのは,そんなときしかゆっくり休むことができなかった長年の勤めからくる習癖か。あるいは,すっかり商業ペースに乗せられてしまっているためか。
 私の都合だけで考えれば,別にこの期間でなくても,いつでもどこへでも行くことができるし,なんでもすることができるのだが。

 ちょうど兵庫県の村岡町で「染織・書 作品展」をやっているというので,妻と出かけた。草木染めの作品を出している中田さんという人が妻の知り合いで,この作品展のことを知ったのだ。
 4月27日(土)が初日という。ゴールデンウイークの始まり。妻はお祝いに持っていくと,我が家の庭から花を集めてきて花篭を作った。

 但馬のこの道は国道9号線だから,どこかへ出かけるときにはちょいちょい使う道だ。昨年も出石に皿蕎麦を食べに行ったものだ。そうだ,あの時は店に財布を忘れて,帰ってから大騒ぎしたものだ。
 実はこの作品展の会場の目印になっている但馬大仏も,数年前に訪れていた。そのときには浜坂町に用事があって,ついでだからと湯村温泉に一泊,その後この但馬路を散策したのだった。

 ここ2・3日少し気温が低いが天気はよし,絶好の行楽日和。常緑樹の深緑と,落葉樹の淡い緑のコントラストが美しい。普通の観光コースとは異なるので交通量も少ない。何もわざわざ賑やかいところを求めて行かなくてもいいのだ。
 一度来たことがあるところだから,道もすぐに思い出して,予定通り一時間半ほどで到着。作品展は但馬大仏・長楽寺の山門前の「さんぶつや」2階を『小さな美術館』と名づけて行われていた。

 染織は中田さんの草木染めのほかに,二階堂さんのインド藍・柿渋染め,書は上地さんの作品であった。染織にも書にも,温かさとやわらかさがにじんでいて,この季節にふさわしい作品展であった。因みに作品展のテーマは『みどりの風にのって』。
 1階の手打ちうどんやさんで昼を食べて(おいしいうどんでした)帰路についた。(2002.4)

 染織・書 作品展「みどりの風にのって」4月27日(土)〜5月6日(月)