そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.272  あいさつ大学時代の同窓会2)

「明けましておめでとうございます」は正月のあいさつ。わざわざ「謹賀新年」という人もあったが,そこまですることもなかろう。
「おはようございます」は幼稚園や小学校でも習った。それだけ覚えていれば毎日のあいさつはことたりた。「オス」はそれを簡略した言い方。数年前にはやった「オハー」も同じ。「こんにちは」は先生以外の人に対するあいさつ。なぜか先生にはしなかった。「今晩は」は夜歩くことがなければ覚えなくてもよいあいさつ。

「晩なりました」は大人になってからのあいさつ。朝が昼になって,晩になる。その時間の経過を考えるのは子どもにとって必要のないことだ。「もう暗くなるから帰りなさい」と呼ばれるまで遊んでいればよかった。
 そういえば近所の九州出身のおじいさんは,夕暮れ時出会うと「夕方になりました」と言う。なるほど「晩」になる前は「夕方」だ。

「寒くなりました」「よく降りますなあ」などの天気のあいさつはたくさんある。日本には四季があり,天気の変化にも富んでいて,それによって1日の作業や行事も左右されることも多いのであいさつに使われる。でも,「よい天気」はだいたい「晴れ」をいう。久し振りの雨でも「いい天気ですなあ」とは言わない。

「ごめんください」はよそのうちを訪ねるときのあいさつ。最近はインターホンで話したり,誰が来たかをモニターカメラで確かめたりしないと入れてもらえないこともある。それだけ人間が信用できなくなったということ。
「お邪魔します」「失礼します」は,部屋を訪ねたり,職場を訪ねるときのあいさつ。「この忙しいときに邪魔するな」と思っていても,なんとなく「どうぞ」といってしまう。
「失礼します」は,話の前置きにも使う言葉。「面倒なあいさつは省略するが」という意味で使っているらしい。

「ご苦労様でした」はねぎらいのあいさつ。上司が部下に対して使うもの,という。部下が上司に対しては「お疲れ様でした」と言うのだそうだ。たいしてお疲れでなくてもそう言うものだそうだ。

「さようなら」は別れのあいさつ。毎日の別れ,旅の別れ,職場の別れ,生別,死別,あらゆる別れに使われる。私もこれまで何度「さようなら」のあいさつをしてきたことか。
「(前略)さよならよりもさりげなく/じゃあね じゃあね……(略)さよならよりもきっぱりと/じゃあね じゃあね……」(谷川俊太郎「じゃあね」より)