そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.286  どうなってるの(BSE サーズ 鳥インフルエンザ)

 去年のこのころは,サーズ(SARS)の話で持ちきりだった。その前はBSEで国際的な問題になっていた。今もアメリカでの感染発生で大問題になっている。鳥インフルエンザが東南アジアで発生,と思ったら,山口県,大分県でも発生,いったいどうなっているのだろう。私としては,別に牛を食わなくてもいいし,鳥肉がなくてもいい。豚だってあるし,魚も不漁だといいながら,なんとか店には並んでいる。それを食べればいいのだから,私自身の食生活に問題はないのだが。

 BSE,狂牛病,牛海綿状脳症。2年以上の長い潜伏期間の後,行動異常,運動失調等の神経症状を呈し,発病後2週間から6ヶ月の経過で死に至る。治療法はない。人にも感染する恐れがある。
 ヨーロッパの畜産業を震撼させたこの病気は日本でも何例か発見され,畜産農家に大きな打撃を与えた。そのため,わが国では全頭検査を行うなど徹底した対策がとられている。最近になってアメリカでの感染が発見され,牛丼の店から牛丼が消えた。

 SARS,重症呼吸器症候群,いわゆる新型肺炎。38℃以上の発熱,咳,息切れ,呼吸困難,肺炎又は呼吸急迫症候群の初見,頭痛,悪寒戦慄,食欲不振,全身倦怠感,下痢,意識混濁などの症状が見られ,死に至ることも多い。原因となる病原体は「SARSコロナウイルス」。2002年から3年にかけて中国,台湾,シンガポール,ベトナム,カナダなどで患者・死者が多く出たため,海外旅行にも大きな影響を与えた。

 鳥インフルエンザ,高病原性鳥インフルエンザ。これまで世界的な大流行となったインフルエンザも,元を探っていくと鳥インフルエンザらしい。それが人に感染するウィルスに形を変えて大流行となる。
 今回東南アジアで見られる人への感染は,今のところ鳥インフルエンザのウィルスが直接人に感染したものらしく,大流行の兆しはないという。

 BSEにしても鳥インフルエンザにしても,家畜・家禽として昔から家で飼われ,人に育てられ,その代償として卵や乳や肉を提供し,お互い種の保存に努めてきた動物が,今人に脅威を与えている。人は,家畜・家禽として飼育していた時代から,まるで工場で生産するように物としてこれらの動物たちを扱うようになった。感染している恐れがある,といってこれらの動物の命は完全に無視する。

 サーズは,中国などでよく食用にされているハクビシンなどが媒体になっているのではないかという。だからハクビシンなど野生の動物の売買はやめようと。
 これはまあいい方で,牛や鶏をなぜそんなに殺してもいいのか。利用するときには利用しておいて,自分たちにとって害になると平気で殺して埋めてしまう。そこにはなんの反省もない。人間の思い上がりではないのか。しかもその映像が当たり前のように流されて。

 BSEもサーズもインフルエンザも,人間に対する動物たちからの復讐なのではないか,と私には感じられてならないのだが。