そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.288  春のうららは

「三寒四温」は冬の季語であるが,天気でいえば早春のこの時季にも当てはまるかもしれない。「春一番」が今年は2月14日に吹いた。その後一転して寒い日が続き,その後はまたまた暖かい日が3・4日。
「三寒四温」…朝鮮や中国の大陸では,寒い日が3日つづくと,その後暖かい日が4日つづくという周期がある。日本ではそれほど明瞭ではないが,寒暖が交互に来ることはしばしば経験する。(『俳句歳時記』平凡社)
「春一番」…立春から春分の間に,南よりの風が8m/s(最大風速)吹いた初めての日と規定している。(『平成13年 山陰の気象の暦・統計』日本気象協会中国支店)

 春一番の中国地方の平均日は2月25日になっているから,今年は少し早い。もっともこの時季の気候というのは非常に複雑である。
 一昨日(22日)のようなぽかぽか陽気があるかと思うと,昨日は冬に後がえり,という具合にだ。一昨日の最高気温はなんと23℃(鳥取)。平年8.5℃を15℃近くも上回る。昨日(23日)の最高気温は7℃(平年8.5℃),やっぱりまだ冬だ。
「平年」…過去30年間の平均値。ここでは1971年〜2000年の2月22日の最高気温の平均である。(『2004年版山陰の気象暦と潮汐』日本気象協会中国支店)

 鳥取の積雪の最深記録は129p,2月22日(1947年),これが鳥取気象台観測開始以降の記録となっている。古い記録では,正徳元(1711)年2月28日「因幡他大雪 鳥取雪1丈余」というのがある。メートル法でいえば3mにもなるのだが,測定場所,測定法など詳細ははわからない。
 なんにしても,2月はまだまだ冬があとを残しているのである。

 2月22日は「ネコヤナギ芽吹く頃」,26日「ツクシが出始める頃」,27日「白鳥帰り始める頃(中海)」。ツクシは新聞に出ていたし,中海のコハクチョウの北帰行はテレビで報じられていた。動物・植物の春は確実に動いている。
「杉花粉の飛散し始める頃(18日)」「アレルギーの日(20日)」に合わせて,杉の町智頭町では「花粉症軽減祈祷式」を行ったとニュースに出ていた。杉を売り物にしている町としては気になるところなのだろう。

 28日は「鳥取ヒバリ初鳴」,「浜田タンポポ開花」。
 3月ひな祭りの頃にはウグイスの初鳴が聞かれ,さくらだよりも巷を流れるようになるのだろう。春のうららはもう少し。
  (歳時・季節・特異気象等は『2004年版山陰の気象暦と潮汐』からの引用)