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伊万里で昼を食べながら考える。はじめは有田に行く予定だったが,伊万里・有田の磁器ばかり見るのでなく,唐津の陶器を見ることにしようか。 国道202号線を北にとる。郊外はらくらく走れるが,市内に入るとそうは行かない。唐津駅まではなんとかたどり着いたがその後どう動いたらよいか。市内の詳しい地図を持っていないので,細かいところが分からない。とうとう駅の案内所に立ち寄って,地図を見ながら聞くことにした。 中里太郎右衛門陶房は,12代・13代の作品と古唐津の展示作品がすばらしい。もちろん値段はとうてい私たちの手の出るところではない(ウン十万〜百万円以上)から見るだけ。 絵唐津,朝鮮唐津,斑唐津,三島唐津,粉引唐津,黒唐津……。多様な技法を持つ唐津焼は,肥前地方一帯で焼かれた陶器の総称で,伊万里と同じく積み出し港の名前がつけられたものである。(中略) 現在,唐津焼の窯元数約五十軒。かつての御用釜,御茶碗釜として続くのは,中里太郎右衛門陶房ただ一軒のみである。(NHK出版『日本の焼き物 伝統の窯元を訪ねて【西日本編】』より) 中里太郎右衛門陶房は藩の御用釜だったのだ。鳥取の因久山焼がそうであるように格式を重んじている(要するにちょっと威張っている)。値段はそれ相応に。そうだと知っていれば,なんとか他の窯元も訪ねたのに,と後で思う。 武雄は嬉野と並ぶこの辺り有数の温泉地。ゆっくりと温泉につかって旅の疲れをとろう。分かりやすい国道を選んで走り,午後4時ごろにはホテルに到着した。 |