そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.293  啓蟄寒波

 節分寒波とか立春寒波とかはよく聞くが,「啓蟄寒波」というのはあまり聞かない。
 啓蟄というのは二十四節気の一つ。今年の啓蟄は3月5日だった。土の中にいる虫が春の暖かさに冬眠から覚めて,ごそごそと這い出してくるころという。ただし,山陰で実際に虫が出てくるのは3月下旬ごろらしい。
 なんにしても,3月もこの時期になると,あまり厳しい寒波や大雪はあまりないからこのたびの雪は珍しかった。(「啓蟄寒波」は私の勝手な命名)

 6日から降りかけた雪は8日朝まで続き,2月までの雪を上回る大雪になった。鳥取の積雪30cmとテレビは報じている。昭和62年以来17年ぶりの大雪だそうだ。
 咲き始めていた我が家の紅梅にもしっかりと雪が積もった(写真)。蕗のとうもツクシもやっと土から顔を出していたところだったが,雪の下に埋もれてしまった。

 勝見の勝山稲荷神社の例祭が7日に行われたので,雪の中,私は大忙しだった。お供えやお神酒で一杯のつまみなどの買い物の準備,会場作りで役員は雪の中を動かなければならなかった。それでも,去年より少し多いくらいの参加者があった。何をしなければならないか,2年目になれば多少は分かる。後始末をして全部終わってほっとする。雪は断続的に降り続いている。

 雪が積もると,餌がなくなるのか家の近くに小鳥がやってくる。
 小鳥にはあまり詳しくないが,翼に白い紋があるのはジョウビタキだろうか。家のすぐ近くまでやってきて,首をめぐらして家の中を覗きこむようにしている。少し離れたアカシアの枝にとまっているのはヒガラかもしれない。「チッ,チッ,チッ」と鳴いている。ちょっと大きいのはヒヨドリか。セグロセキレイは年中よくやってくる。チョコチョコチョコと歩いて尻尾を上げ下げする姿はすっかりおなじみのものだ。

 ときどきこの小鳥たちに餌をやってみようと,ひまわりの種や米粒をまいてみたことがある。しかし,それを食べている姿は見たことがない。米粒の場合は,2週間以上もまいたときのまま残っていた。もちろん動物性のものを餌にする小鳥は食べないだろうが,せっかく困っているだろうとやっているのだから,食べる姿くらい見せてもよかろうに。
 でも,小鳥たちの自然の姿を見られることは幸せなのかもしれない。

 昨年はほとんど積もらなかったから,久し振りの雪かきをした。我が家から一般道路まで40〜50m。雪かきは雪が新しいうちにやってしまうと楽だ。1時間もしないうちに終わる。その後快晴。雪がとけてほんとうの春が来る。