そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.297  モンシロチョウが飛んだ

 3・4日いい天気が続いた。いよいよ草取りシーズンの始まりである。冬の間ひっそりと身を潜めているように見える雑草は,地面に出ている部分は僅かでもしっかり根を張っていて,なかなか抜けない。それでも雨さえ降らなければ,今日はここ,次の日はここと決めて取り進める。

 始末の悪いのはスギナだ。去年も冬近くまで取り続けた。きれいに取ったと思っていても,またしばらくすると出てくる。どうもあれは最初が悪いのではないか。ツクシが出始めて,「ああ可愛いね」とか,「ほう,たくさん生えた」など観賞しているうちに胞子が飛んで,広がってしまうのだ。

 今年は,ツクシもスギナも眼に見えたら取ってしまおう。いっさい妥協はすまい。などと心に決めて地面を見まわすと,もう結構小さなツクシやスギナが出かかっている。
 根元から掘り取ってみると,一本のツクシの横に小さな細いツクシが見られる。大きいツクシが成長したら,この小さいやつも続いて大きくなっていくのか。あるいは大きいのがうまく成長できないことが起こったとき,小さいのが代わって成長していくのか。何にしても種の保存,増殖の知恵に違いない。
 もちろん雑草はツクシとスギナだけではないから,これから秋まで気の長い仕事だ。

 これも春の到来を表すモンシロチョウの初見は3月16日(浜村)だった。平年が26日(鳥取),去年は20日(浜村)だったから,今年はかなり早い。
 モンシロチョウが見え出すとまたまた仕事が増える。秋から冬にかけてはブロッコリー(今もまだ収穫している),これからはキャベツのアオムシ対策である。

 我が家では農薬をほとんど使わず,手で取るようにしている。卵の段階では発見しにくいので,アオムシになって食害が見えるようになってから捕殺する。これがなかなかたいへんで,1日2回くらいは見ないと食害がひどくなる。かなり大きくなるまでうまく隠れて活動しているのもあって,「なんでこんな大きなやつが見えなかったんだ」と思うこともしばしばだ。
 ヒトとアオムシとの食うか食われるかの競争なのだ。

 ツバメが飛ぶのも楽しみに待っている。平年が24日,去年は28日に東郷町で見かけたと記録している。草取りをしながら,時々腰をのばすついでに空を見上げて,鳥たちの影を追う。
 今日は,こそこそと逃げていくイタチの姿を見かけた。近くに棲みついているらしく,時々姿を表す。しばらく見なかったが,無事冬を過ごしたらしい。