そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.30 /庭の花々 〜初夏〜

  我が家の庭は小さな日本庭園の部分と,野菜畑を含むopenな庭との二つに分かれる。主に後者が中心になろうが,これを書き進めながら私自身花と季節を楽しみたいと思っている。

 カキツバタが咲き始めた。すらりと伸びた花茎,紫の花弁のもとの黄色の切れ込みが特徴だ。アヤメ,ハナショウブ,イチハツなどアヤメの仲間は似たところが多く区別が難しいものもある。文目(あやめ)模様だと葉脈のちがいだとか,その区別を『原色牧野植物図鑑』(北隆館)で調べたことがあったが,詳しいことは忘れた。

 我が家のカキツバタは,妻が習っている生花の材料にたまたま根がついていたので,ポリ容器に土を入れ水を張っておいたら,その僅かな根が伸び活着したらしい。昨年妻はせっせと肥料をやり花を見んものと楽しんでいた。ところが葉はどんどん成長し大きくなったのだが,ついに蕾は出なかった。どうも世話をしすぎて,図体ばかり大きくなったらしい。今年は,昨年の反省にたって肥料はやらないことにした。すると見事すばらしい花が次々咲き出したのだった。

 ハマナスも,他の花に負けず,今年は1か月近く早く咲き出した。『花を贈る事典366日』によると「ハマナシ」として9月に出てくる。梨のような実をつけるので「浜梨」なのだそうだ。北海道から島根まで海岸に自生するという。従ってその主力は北陸以北,9月の花というのもわかる。

 鳥取市の白兎海岸に,ハマナスの自生群落南限地がある。国道沿いだから誰でも知っているところだ。
「家のハマナスです」と持って行くと「家の庭でも咲くのか」と疑われる。この浜村の海岸近くにもかなり見られるし,庭に植えている家も多い。我が家のハマナスも知り合いからもらったものだ。手入れはそんなにいらないが,トゲが多く草取りはたいへんだ。しかし,風通しをよくしてやらないと,中から枯れてくることもある。
 白兎海岸の群落は車の排気ガスの影響からか,ちょっと元気がないとか。

  鉢植えにしているヒメカンゾウが,毎年まじめに花をつける。一日花(一つの花は一日だけでしぼんでしまう)だが,毎日次々と濃黄色の花を咲かせる。花言葉は「物忘れ」。
 親孝行な兄弟があり,その父の死にあって,兄はカンゾウを墓に植え死の深い悲しみを忘れようとした。一方弟は思い草(シオン)を植えますます思慕の念を深め,毎日墓参を欠かさなかった。シオンの花言葉は「追憶」。兄弟いずれの行為も別離に対する人の思いの真実を語っているのだろうか。
 
 鉢に閉じ込められた我が家のカンゾウもそろそろ路地に下ろしてやるか,シオンと並べて。(花言葉,および親孝行の兄弟の話は『花を贈る事典366日』西良祐著・講談社を参考にしています)(2002.5.10)