そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.301  絵本

 全国学校図書館関係の役を一つ持っているので,児童生徒・幼児向きの本をいただくことがある。校長時代には,読書のすすめの材料にしたものだ。

〜〜 今日は私の夏休みの読書の話をしましょう。大人の読む本ももちろん読みましたが,今年の夏は,たくさん子ども向けの本が手に入りました。「よし,頑張って読もう」と思いまして,読みました。こんなに(20冊位)ありました。本当は学校の図書館や町立図書館,その他の図書館のものも読みましたので,これよりは10冊位多いと思います。この中には絵本もあれば中学生向きのものもあります。
「絵本だったら自分だってそのくらい読める」と思っている人もあるでしょうね。確かに字がとても少ないので,この字を読むだけなら一日に何冊でも読めるでしょう。ところが,この「シイの木はよみがえった」という絵本の文を書いている飯田栄彦さんという作家の話を聞いて,それは絵本の正しい読み方でないということが分かりました。
 絵本の絵には,一枚一枚「何を描くか」「どう描くか」「どんな色にするか」などの画家の工夫があるんだそうです。文も,短いだけにどんな言葉でその気持ちを表すか,作家の工夫があります。この絵本は,今から50年以上前に,福岡県の甘木市で空襲によって多くの子どもたちがなくなったという実際の話を絵本にしたものですが,絵や文に込められた画家や作家の気持ちをじっと読んでいくと,絵本を読むってそんなに簡単なものではないということが分かります。(中略)
 もう一冊ここに「パパ,お月さまとって!」という絵本があります。ある人からこの作者,エリック=カールという人を教えていただきまして,その人のものばかり5・6冊ばかり借りて読みました。そのうちの一冊です。(中を少し見せて)絵本ってこんなことまでできるんだと感心します。もちろん,文や文章の中にもいっぱい面白いことがあります。皆さんも物語や童話,絵本の中に面白いものをいっぱい見つけてください。
                          (K小学校全校朝会の話より)
 いただいた絵本のほとんどはその学校に寄贈した。その後のものは町の図書館に寄贈している。

 先日,町図書館運営についての話し合いがあった。新年度に向けての要望などいろいろ意見が出た。当然選書も話題になる。
「新聞7紙を取るのはいいことですが,英字新聞1紙くらい取ってもいいのではありませんか。国際化が言われているこの頃ですし。」
 もっともな意見だ。私は最近ずっと思っていたことを話した。
「英字新聞を取ることはいいことだと思います。それで思ったのですが,外国の絵本も入れたらどうでしょうか。読めなくてもいい,見るだけでも楽しいですよ。」
 このことはここしばらく考えていたことであった。年に一度は海外旅行をしているが,書店を覗ける機会があれば絵本をさがす。空港の書店には絵本が置いてあることが多い。言葉はわからないが面白そうなものもある。シドニーの蚤の市(フリーマーケット)で買ったものもある。そんなこんなで何冊かは手元にある。この機会にと,これまで集めている外国の絵本数冊を寄贈することにしよう。
 新年度には,外国絵本のコーナーができることを期待する。