そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.304  花見三昧

 今年の桜は恐ろしく早かった。ここ2・3年早いことは確かだが,それにしても早く咲いたものだ。先日出かけた鳥取の川土手のさくらが見事だった。花に合わせて花見に出かけることにしよう。「長屋の花見」という落語では,飲み食いの酒肴の代用品が面白いが,私たちには何も要らない。花を見るだけ。でも,コーヒーくらい沸かして持とうか。
 県中部だと,倉吉の打吹山,桜小学校の桜もいいぞ。九品山(くほんさん)はどうだ。

 先ず,東郷湖畔の藤津公園に寄ることにした。ここのアヤメは有名だが桜は聞いたことがない。もちろんアヤメの季節でもなく,数本の桜(ソメイヨシノではなく,白っぽくてちょっと風情がある)を見ながら持ってきたコーヒーを味わう。
「倭文(しとり)神社に上がる道路に沿って,桜はあるんだけどなあ。」これは私のひとり言。

 九品山に行ってみようかということになった。
「九品山にはお参りしたことがある。」
という妻は中部(羽合町)の生まれだが,東郷町のことは町内の学校に勤めた関係で私の方が詳しい。桜小学校の桜を見上げながら車を走らせる。
 桜小学校の桜は,昭和32・3年ごろに学校統合・校舎新築記念として植えられたものだから,樹齢50年近くというところだろうか。まだまだ美しい花を見せてくれる。

 九品山といっているのは,九品山大伝寺というのが正式名称で,毎年旧暦3月15日に先祖供養の卒塔婆や古い位牌,不用になった仏壇・仏具の類を供養して焼却する。この法要を「九品山会式」という。
 校区が違っていたので私はお参りしたことはなかったが,その日この近くを通りかかると,交通規制がされていてたいへん賑やかだったのを思い出す。東郷湖の対岸になる羽合町の人たちもお参りしていたのであろう。
 桜は満開でちょうどその下で花見の宴を開いているところだった。JRの線路越しに眺めて次に行く。

「東郷町役場裏の土手の桜がよさそうだったから行って見よう。」
 少しバックして土手を歩く(写真)。川の方に延びている枝のすべてが満開だ。平日だから花見の人もないがいい眺めだ。池に向かっている土手にはまだ若い木も植えられている。
 ここまで来たついでだ。倭文(しとり)神社に上がる道を羽合町に抜けることにする。公園からはよく見えなかった桜並木が見事である。ここにはソメイヨシノだけでなく,ヤエザクラもある。ヤエザクラは遅いのが普通だが,ここはもうかなり開いていた。

 今日は花見三昧中部編であった。