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今年は冬から春にかけてずいぶん暖かくて,桜をはじめすべての春の自然現象が,足早に駆け抜けていった。 ところで,季節の訪れを告げる代表的な動植物というのがある。『山陰の気象の暦・統計』(日本気象協会 中国支店)から5月に上げられているものを見よう。 このように身の回りには,季節の変化を示す動植物などの動きが見られるのだが,果たして人々はそれを感じているのだろうか。「今年の桜は早い」という人は多いが,「今年は燕が遅い」という声は聞いたことがない。 気象に関する情報というのは,以前はずっと少なかったものだ。私の子どもの頃,公に流されるのはラジオと新聞,それも,天気図と今日明日の予報くらいのものだった。 今は人工衛星などを使った,地球規模での天気の変化や,コンピュータを駆使した膨大な量の情報を処理して予報が出される。そして,リアルタイムでわかりやすく丁寧に,インターネットやテレビで届けられる仕組みになっている。洗濯はどうとか、旅行先のことまでも。 こうして私たちは,自分で天気予報をする必要がなくなった。自然の変化に気をつけることも少なくなった。見るとしても,それは観賞の対象としてのものになってしまった。そして,自然が私たちからまた一歩遠のいて行く。 昔人間は 星の動きを見て 天の行くところを知った |