そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.310  書展・日展・絣展

 最近見た展覧会。
 梨風会書展は,4月1日から3日まで鳥取県民文化会館で開催された。私の同級生の稲垣晴雲氏が会長をしている。第20回を数えるということで,私にも案内がきた。3月31日に同じ会館で演劇があったので,通りがかりに「明日ならよかったんだけどなあ」などと言いながら書展会場を見ると準備中であった。中を覗きこんでいると,
「どうぞ入って見てください。」
と言われるのに甘えて中に入る。稲垣氏も準備の手を休めてわざわざ解説しながら案内してくれた。

 私は習字が下手だから,芸術書道を見てもそのよさがわからない。だいたい私が小学生の頃には習字なんてなかったのではないか。中学生のときにはあったかもしれないが。しかし,稲垣氏のように書ける人もあるのだから,そのことと私の書道観とは関係がない。
 漢文の書を見ても読めないので,「ああ,こんなにもうまくよく書けるもんだ」と感心するくらいだ。行書や草書,もっと違った書体で書いてあるものはもちろん読めない。

 しかし,今回の作品の中で自由書(と言うのかどうか。自分が作った詩や好きな作品を自由な書体で書いたもの)は面白かった。形にとらわれず気持ちを表現している。
 賛助出品も3名の方があった。故天石東邨氏は稲垣氏の恩師だという。書写教科書の執筆をしておられて,鳥取県にも指導においでになったことがある。青谷町主催の書写コンクールの最終審査をしておられたことも聞いていた。10年以上も前の書写指導やコンクールのことを思い出しながら見て歩いた書展(期日前に入れていただき案内までしていただいたことに深く感謝)であった。

「第35回日展・鳥取展」は,4月3日から18日まで鳥取県立博物館で開催された。これは絵画,彫刻,書,工芸美術,彫刻合わせて294点が展示されている大きな展覧会である。博物館の特別展示室を全部使っての展示である。平成12年にも開催されたというが,記憶にないから多分見ていないのだろう。

 博物館の駐車場は少なく,いつも駐車場所に苦労する。この日は平日で大丈夫かと思っていたが,花見の余韻が残っていて,とても停められない。まだ春休みの近くの学校の職員駐車場にに頼みこんで停めさせてもらった。
 ついでながら,博物館に美術館がやるべき美術展をさせているというのはおかしいのではなかろうか。以前にも書いたと思うが,早く美術館を建てるべきだと思う。何かを造るとなると,どうも地域感情が絡んでしまう。ここはきっぱりと県中部に建てるべきだと私は思っている。

 大作が多い。県外作家が多い中に,鳥取県作家の作品も20点近くあった。せっかく鳥取県であるのだから,県人の作品がなかったら寂しい。
 重厚さに圧倒されて疲れて,1時間ほど見て館外へ。博物館の向かい側にある仁風閣に立ち寄る。絣の展示をしていたからだ。私はこの近くの鳥取西高等学校の卒業生だが,仁風閣には在学中もたまにしか来なかったように思う。重要文化財のこの建物も,その頃は保存状況があまりよくなかったのかもしれない。
 今はきれいに整備された中での絣展を見て歩いた。