そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.314  東京行進曲1

 東京3日間の旅である。と言っても,最初の日は午後出発だから,どこに行くというほどの時間もないし,夕食は次男といっしょにする予定だから,それまでゆっくり過ごすことにしようか。
「確か浜松町に劇団四季の劇場があるから,前日予約ができないか訊いてみよう。」
と妻が言うので,飛行機を降りるとモノレールで浜松町へ。駅からそう遠くないところに四季劇場はあった。

 ちょうど午後の1回目の公演が終わったところらしく,大勢の人が出てくる。ここの劇場では年中演劇公演が行われ,主に東日本の演劇ファン,また観光客も観劇にやって来る。劇団四季は,京都,大阪などにも劇場を持ち,ファンを楽しませている。昨年『美女と野獣』を見たのは京都劇場だった。

 ここでは有名な『ライオンキング』を続演中。前日あるいは当日販売に期待して窓口で尋ねてみる。
「明日は貸切り公演ですので一般の方は入れません。明後日については明日お尋ねください。」
 しょうがないなあ。明日もう一度電話をしてみるか,と諦めて帰りかけたが,隣の「秋劇場」で『ユタと不思議な仲間たち』をやっている(『ライオンキング』は「春劇場」)。
「明日電話しても『ライオンキング』はないかもしれないから,あればこっちを頼もう。」
 申しこむと,明日はやはり貸切り公演となっていたが,明後日の席はまだ空いていた。S席は2階席になるという。A席は1階S席の横になる。それでいこう。これで3日目の午後の予定が決まった。

 駅まで歩きながら,途中見かけた「旧芝離宮恩賜庭園」に入る。説明書によると,
「小石川後楽園とともに,今に残るもっとも古い大庭園の一つ」とある。延宝6(1678)年に老中・大久保タ忠朝の邸地になり,上屋敷を建てる際に,藩地の小田原から庭師を呼び寄せて作庭しこれを『楽寿園』と命名した。その後,紀州徳川家,有栖川宮家を経て明治8(1875)年に宮内省が買い上げ「芝離宮」となったが,関東大震災によって焼失。昭和天皇のご成婚記念として東京市(当時)に下賜,復旧・整備を施して現在に至る。

 昭和天皇ゆかりの地としてだろうか,4月29日緑の日は入園無料(入園料は150円)。池を中心にして,新緑の芝生と樹木がまぶしい。今日は無料ということもあるのかもしれないが,多くの市民が芝生に座り,寝そべり,散策し,子ども達が遊んでいる。周りを取り囲むビルデイングが「東京」を主張しているが,のんびりした休日である。