そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.316  東京行進曲3

  朝食はホテルのバイキングを早めにとって,フロントに行き観光ガイドのパンフレットをもらう。青山付近の散策と,はとバスのガイド。はとバスの1日コースから「東京下町物語」を選び出した。青山散策は明日の午前にすればよい。これで今日・明日の予定が全部決まったことになる。

 東京丸の内はとバスターミナル10時30分発だから,9時前に出ればゆっくり間に合う。バスターミナルで切符を求める。3A・Bという切符だから,まだまだ余裕があるみたいだ。時間があるので,お堀の方を散歩する。皇居の辺りはものすごい広さで,ほんの一隅を歩くだけでくたびれてしまう。二重橋の近くまで歩いて帰ることにした。

 いつものことながら警備の人が多い。車止めに使われているらしいコンクリートの塊を移動している。今日は何か人の出入りがあるのだろうか,と話をしていると,皇居の方から騎馬の人と馬車が出てきた。馬車には誰も乗っていないようだ。東京駅に向かう。誰か高貴な人を迎えに行くところらしい。
 駅前でしばらく止まっていた馬車の列は,列を組んで皇居に帰っていった。歩いていた私たちは駅で何があったのかわからなかったので,後でバスガイドさんに聞くと,
「多分どこかの新任大使を迎えに行くところだったのでしょう。」
との答えだった。そう言えば,帰りの馬車の中には,沿道に向かって手を振っている人が見えた。

 さて,「東京下町物語」のバスは,定刻より10分ばかり遅れて出発。遅刻した人があったからだ。どうしてこんなときに遅刻ができるのか。普通なら気になって,時間前に行動しようとするのに。
 まずは深川江戸資料館へ。
〜ここは,新しく開発された「場景再現,生活再現展示」という展示技術を活用し,期待と話題を集めている展示施設です〜(資料館パンフレットより)。1日の下町の様子を20分ほどに集約し,音と光で江戸庶民の生活を感じさせてくれる,古くて新しい観光名所だ。
 なかなかよくできている。江戸深川の町並を想定復元した資料館である。実物大で復元した数棟の江戸時代の建物と,その中に配置された生活用品によって構成されている。映画のセットに近いのかもしれない。八百屋がある。米屋がある。船宿がある。長屋がある。屋根には猫が寝ていて,時々起き上がっては「ニャーオ」と鳴く。

 昼食は「駒形どぜう」。創業200年という老舗だそうだ。あまり大きくない20匹くらいのドジョウをネギを乗せて炭火で焼いて食べる。骨も固くなく,臭みもない。ビールを飲みながらおいしくいただく。「どぜう」はもともと「どじやう」が正しいのだそうだが,4文字を嫌って3文字「どぜう」にしたのだそうだ。
 二人でこれだけかと思っていたらもう一皿出てきた。ご飯に乗せておいしい昼食である。