そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.323  童謡・唱歌100選展

 原田泰治の「日本の童謡・唱歌100選展」を倉吉で開催しているので出かけた。去年は山下清展,一昨年は福井千秋展がやはり倉吉であった。そう言えばK先生の入院のことを聞いたのは,福井千秋展を見に来たときだったか。なんだかいろいろ思い出された。
 博物館近くまで上がって停められなかったら困るからと,公園下の道路横駐車場に駐車。しかし狭い駐車場だ。ここは倉吉の観光の中心地だろうに,これじゃあ駄目だ。そういえば鳥取の県立博物館の駐車場も狭い。どうしてこの車の時代に対応できないのだろう。

「原田泰治展」はなかなかよかった。倉吉市と地元新聞が主催していて,1か月も前から新聞紙面で宣伝していたが,宣伝していたほどのよさを感じた。
 原田泰治は1940年長野県生まれというから私より1歳年上。「グラフィックデザイナーとして活躍する一方,ふるさとをテーマにした画家として制作活動を続けている」(原田泰治プロフィールより)という。私がその作品に親しみを感じているのは「朝日新聞・日曜版」の「原田泰治の世界」でずっと見てきたからでもある。

「ふるさと」をテーマに全国を取材しているという。各地に取材したものは説明書きに地名が明記されている。鳥取県では,用瀬町の流し雛(「うれしいひな祭り」),日南町の農村風景(「サッちゃん」)が童謡の題名をつけて展示されていた。高野辰之作詞,岡野貞一作曲のものはいくつかあったが,鳥取県に取材したのものがない。
「『故郷(ふるさと)』くらい岡野のふるさと鳥取県でもいいのに。」と妻が言う。
「そうだなあ,でも高野は長野県出身だからなあ。」と私。

 もっとも,原田泰治は初めから童謡を意識して描いたのではなかろう。「ふるさと」を描いた絵に,童謡が結びついたのではないかと思われる。用瀬の流し雛などは確かにひな祭りそのものだが,そうでないものも多いのである。「かたつむり」では,どこにもかたつむりは見当たらない。「浜辺の歌」に浜はない。「メダカの学校」では子どもたちが川で何やらとって遊んでいる。「チューリップ」では遥かな遠景にチューリップが描かれている。
 だからこれらの作品は「ふるさと」であり,「日本の原風景」である。そこに表現されたあたたかい詩情を,実に細かい描写の中に感じればいい。
 
 1時間ばかり鑑賞して出た。白壁土蔵群・赤瓦の町を散策。昨年その一部で火災があったが,復元されたところの壁が一際新しかった。
 ちょうど昼過ぎ,腹もへった。少し歩いて「のだやのカレー」にする。直径が30p近くもある皿に,ご飯と煮こみ肉がカレーの中に泳いでいる。
「からい。」カレーは辛いのがうまい。