そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.324  としょかん発見塾

「第3回としょかん発見塾」が町立図書館で行われたので,いったいどんなことをしているのだろうかと,野次馬根性で見に行った。これは,「図書館フレンズけたか」の主催行事である。「図書館フレンズけたか」は昨年五月ごろに発足した,気高町立図書館の設立・運営を支援する町民(町外の人の参加もOK)組織。現在60名あまりの人たちが参加し活動を行っている。私も会員の一人だが,開館前に配架のお手伝いを少ししただけで,それ以後ほとんど活動していない。

「としょかん発見塾」は「フレンズけたか」の事業の一つで,町内外の,ユニークな生き方,面白い趣味を持っている人を講師にして話を聞き,自分の生き方を考える研修会。今回の講師は,気高町立図書館の岸本館長さんだった。
 岸本さんは,図書館設立準備委員会の時から気高町の図書館に関ってきておられる。その思い出を含めて話をされた。さすがによく勉強しておられる。全国・県内の図書館の様子や公共図書館に関する図書などにもよく目を通しておられ,私は初めて知ることが多かった。
 設立準備会ができた頃には,図書購入費が年間1千万円あったが,設立が難しいということが出てくると,半分に減らされ,さらに十分の一の百万円まで落とされたという。町・議会の理解のなさにあきれる。けっきょく町民の意識の低さに問題があったということになるのだろうと思う。

 今,小さいながら町立図書館ができて,「図書館とは」という具体的な姿が町民にできつつある。これをもっとよいものにしていくにはどうすればよいか。目前に迫った市町村合併の問題がある。新鳥取市には,現在の鳥取市民図書館をはじめとして全部で4つの図書館があることになる。
 おそらくは,現在の鳥取市のものが中央館ということになるのだろうが,図書館というシステムで考えるとき,現段階では気高町のものがいちばんしっかりしているのだそうだ。たとえば館長をとってみても,専任で資格のある現役の館長が置かれているのは気高町だけ。図書館協議会も鳥取市には他の文化施設の運営とあわせて協議する会しかない。「フレンズけたか」のような支援組織もない。

 さらに,10市町村の合併だが,4市町村しか図書館がないため,新しい組織では,気高・鹿野・青谷地区の地区役所の下に来るのではなく,鳥取市教育委員会の声で動かなければならなくなるのではないかという。つまり,上からの声は大きく響き,下からの声は届きにくくなるのではないか,というのだ。これはサービスの低下につながる恐れがある。

 このことは「発見塾」の後に開かれた「フレンズ16年度総会」でも論議された。そして,次回以降の定例会のテーマとして取り組もうということになった。ようやく始まった気高町の図書館の動きを,止めたりゆるめたりするわけにはいかないのである。