そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.327  梅雨の晴れ間

 早くも梅雨に入った(5月29日・例年より12日早いという)。雪の少ない冬,早い桜,暑い5月。季節の全体が少しずつ早まっているのだから,異常気象というわけでもなかろうが,なんだか季節がどんどんやって来るような感じだ。
 雷が鳴ってザーザー,シトシト,まさに梅雨らしい感じの雨が続く。

 6月に入ったらぼちぼち剪定を始めるか,と思っていたらこの雨。仕事の関係で少し曜日に制約を受ける。
「晴れは5日続いても平気だが,雨は3日続くといやになる。梅雨に入ってしまって剪定ができないじゃあないか。」
と,ぼやいていたら今日は晴れた。いわゆる梅雨の晴れ間。さあ,仕事ができるぞ。

 とは思ったものの,この剪定作業は最近ろくなことがない。毛虫にやられることがよくあるし,一昨年は脚立からの転落事故。だから余り無理はしない。松2本は本職の職人さんに頼んで剪定と消毒をしてもらう。私は山茶花や柊などの余り高くない樹木12・3本ばかりと,サツキなどの低いものである。それも一度に行わず3日ぐらいに分けて行うようにしている。

 まず慣れるために山茶花から始めよう。と,作業に取り掛かりかけたら毛虫発見。これは去年ひどくやられたチャドクガの幼虫に違いない。去年は草取りをしていたところの山茶花にものすごい幼虫の群がいて,気づかずにやられてしまったのだった。「ケムシに触れなくても,付近には脱皮殻から抜けた毒針毛が空中に漂っているので,近寄るだけで発疹することもある」(NHK趣味の園芸「病気と害虫」より)。
 山茶花や椿などにつきやすいということを聞いていたので,去年やられたところはたびたび消毒をしていたのだが,庭の方は観察をするだけで油断をしていた。作業を中止して消毒をする。
 そんなこんなで時間を取ってしまって2本ばかりしかできなかった。まあこれから晴れ間を見ては少しずつやればよかろう。

 ホタルブクロがピンクの袋をぶら下げ始めた。妻は,「図書館にいっぱい生けるのだ」と楽しみにしていた。店で買う花はほとんど使わず,我が家に咲く花,花木などを図書館に生けている。時には近所の家にも頼んでとらせてもらったり,山を歩いて集めたりもする。
 先日私が図書館で水を継ぎ足していると,
「すごいですね。こんなアザミもあるんですか。広い庭でしょうね。」
という人がある。
「冗談じゃないですよ。これは山から取ってきたんです。」
「ああ,山歩きもされるんですね。」
 季節が花から毛虫から感じられるこのころである。