そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.331  近頃読書は

 町誌編纂の仕事を始めてから,予想したことではあったが読書量がぐんと落ちた。昨年10月から今年3月までに100冊借りて読んでいたのが,4月初めから5月末までに24冊しか借りていない。教育委員会に勤めるのは週2日だから,それほど時間的な負担はないはずだが,1日8時間完全にとられると,それから読書にかかろうかという意欲はさすがにない。また,仕事の内容がいろいろな資料にあたることも多いので,結構エネルギーを取られることになる。他の市町村の資料を読むことも多く,実際たいへんなのだ。

 さらに今月に入って,各種会合が多かった。受章祝賀会とか,各種総会などである。準備もあるので,会合の数の倍も時間を取られる。
 庭木の手入れにもかなり時間を取られた。これももう少し残っているから,6月の読書もあまり伸びないだろう。などというのは言い訳か。

 前にも書いたような気がするが,図書館ができていろいろな本が読めるようになった。書店で買って読むということになると財布の金と相談しなければならない。一万円で買える本なんて知れたものだ。だからあれもこれもということはできない。もし,「選書」に誤りがあっても「面白くなかったから返します」というわけにはいかない。また,「まあ少々面白くないのが混じっていてもいいや」というわけにもいかないのである。
 新聞の書評欄などもよく読んでおいても,あまりあてにはならない。けっきょくかなり名の通った作家の,かなり評判の本しか買わないことになる。だから読書の幅が広がらない。

 その点図書館だと自分で読んで選べる。借りて帰っても面白くなければすぐに返せばよい。自分で好きな作家を見つけたら,さらにその作家の本を探して読むこともできる。と言っても,やっぱり受賞作家や書評で取り上げられている作家に目が行きがちだが,それでもかなり読書の幅が広がりつつあると,自分では思っている。調べるための読書についても,自分で見て読んで,選ぶことができる。特にこの場合,1冊の本全部が必要でないことが多い。必要な部分を探したり,比較しながら読んだりするのは,図書館でなければできない作業だ。

 また,今図書館になくても他館から取り寄せることもできるし,購入してもらうことも可能だ。最近町誌編纂に関する資料を2・3冊借りたら,近辺の市町村誌(史)をかなり揃えてくれるようになった。図書館側でも利用者の読書傾向を見ながら資料の充実を図っているのである。もちろん,要求があればどんどん言えばいいと思う。可能な限りは応えてくれるはずだ。
 ちょっと今忙しさを理由に読書量が落ちているけれど,もう少ししたらこの生活にも慣れて,読書人としての自分を成長させることができると思っている。