そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.335 時の記念日

 し〜と〜し〜と〜 あ〜め〜ふ〜り〜 の〜ん〜び〜り〜 い〜ち〜に〜ち〜
           (工藤直子「ゆっくりあめのひ かたつむりでんきち」より)
 こんな梅雨になる予定だった。ところがどうして,今年の梅雨は,かためて降り,かためて晴れる。今から毎日水やりが大変だ。
 ところで,なぜだかこの近くでかたつむりを見ない。ナメクジはたくさん見られるが,これは野菜の害虫だし,家の中まで入ってくるし嫌な存在。雨の前には忌避剤を撒いて入らないように努める。かたつむりは姿形もちょっと面白いのに,どこに行ってしまったのだろうか。あんな殻を背負ったまま。

 10日,時の記念日。「そうだ」と思いついてトケイソウの花を図書館に持っていった。カウンターの司書さんに,
「時の記念日だから,トケイソウを持ってきました。花瓶にさしてやって。」
と言って渡すと,回りの人たちも寄ってきた。初めて見る人も多く話の花が咲く。日本では花弁の形を時計の円形,雄しべ・雌しべを針に見たてて「時計草」というが,英語ではパッション・フラワー,雌しべを十字架にかけられたキリストに見たててキリスト受難の意味を表すとか。ところによって花一つの見方が違ってくる。
 つるものなので水上げが心配だったが,案外丈夫で,蕾だったのも後日開いたようだ。
 沖縄の島袋さんにもらったクダモノトケイソウ(パッションフルーツ)の種をまいている。なんとか発芽して育ったら,寒い時期は室内にとりこんで,実をつけるようやって見よう。発芽までの期待があり,育てる楽しみがあり,食べる喜びがある。いや,うまくいったらの話だ。

 スイレンの池(本当はプラスチックの箱)のトノサマガエルは,すっかりここを棲みかにきめたようだ。スイレンの葉にちょこんと乗っかってキョロキョロ辺りを見まわしている。去年もいたと思うがちょっと大きくなったみたい。
「1匹だけじゃ,寂しいだろう。」
と言いながら写真を撮っていたら,足元にもう1匹いた。なんだ,ちゃんとペア−がいるんだ。なかよくしろよ。

 エンゼルストランペットがもう花を見せ始めた。落ち葉で囲って冬越しをさせた2株のうち,1株が順調に芽を出し花をつけた。まだまだこれからが成長の時期だから,大きく育つだろう。もう1株はちょっと芽が出るのが遅れて,鉢植えで冬越ししたものと変わらないくらい。同じように囲ったつもりだが,どこにどんな違いがあったのだろうか。

 6月,あらゆる物が成長する季節。私は,どうかな。