そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.345  伊吹山散策1

 N新聞社主催の「清末忠人先生と行く〜日本百名山・夏の伊吹山お花畑散策と関ヶ原鍾乳洞」の旅に参加した。旅といっても日帰りのバス旅行である。これまで伊吹山の植物観察については「自然観察の会」の会員からいろいろ聞いていたので是非行きたいと思っていた。妻が申し込みをすると,「もう満席になっていますので,キャンセル待ちです」との返事。ところが1週間ほどして電話があった。「希望が多いので追加の日程を組みました」やれやれ。
 ちょっと天気が心配だった。梅雨の最中で,予報が安定しない。インターネットで調べながら雨具など準備する。
 朝が早い。浜村中央バス停5時50分発。町立図書館に車を置いてバス停まで徒歩,5分も待たないでバスがやって来た。鳥取で清末先生など多くが乗りこみ,河原で4名が乗って,43名の参加者とスタッフの伊吹山の旅が始まった。

 バスのベテランガイドさんが植物について説明するが,そこは専門の清末先生にはかなわない。(このガイドさんは往路ずっとしゃべっていた。さすがガイド。でも帰路はビデオの紹介をしただけだった)
「ネムノキは,夜,葉を合わせて眠ったようになりますが,葉の表を合わせた状態か,裏を合わせた状態で眠るか,どちらでしょう。」
「? ? ?」……
「漢字では合歓木と書きます。背中向きで合わさって歓ぶことはできないでしょう。正面で合わさって眠るのです。だから表を合わせた状態です。」なるほど納得。
 
 最初に,関ヶ原鍾乳洞見学。
「岩倉山の鍾乳洞 東海の奇勝として知られる鍾乳洞。幾千万の歳月を経た今も,生き続ける大自然が造りあげた鍾乳洞。夏は涼しく,冬温かい,年間を通して洞内温度十五度です。鍾乳石と石筍により生み出された造形美は,まさに奇観を呈しています。自然と歴史と伝説の織り成す神秘な姿をとくとご鑑賞ください。関ヶ原町」(説明板より)

 最近になって観光目的で開発された鍾乳洞のようだ。通路など歩きやすく整備されているが,鍾乳石も石筍も,秋芳洞のものなどを予想しているとずいぶん裏切られた感じになる。また,石灰岩地帯の秋吉台のようなところと違って,鍾乳石や石筍は濁った感じである。 しかし,外は気温も湿度も高くむっとしているが,中は年じゅう15℃だということで,ひんやりと気持ちがいい。ニジマスが泳いでいる。水の温度も一定しているだろうからいい環境だろう。でも,餌はどうなっているのかな。自然のものがそう多くいるはずはないと思うのだが。
 早い人について入ったら清末先生の話を聞くことがなく,トットト15分ばかりで出てしまった。後で聞くと化石の話などが聞けたらしい。

 駐車場の周りを見まわすとアジサイにセミがとまっている。捕まえて清末先生に聞くと,
「早いですねえ。ヒグラシの雌です。」
 動物も季節を早く感じているいるのだろうか。  (続く)