そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.346  伊吹山散策2

 鍾乳洞見学の後は近くの土産物屋・食堂で昼食。食事の時間が多めにとってあるのは,土産を買わせるため。実際こういう団体の参加者は土産をよく買う。鳥取県の人は土産物をよく買う方だと,どこかで聞いたことがある。
 さていよいよ伊吹山。関ヶ原鍾乳洞は岐阜県だが,伊吹山は滋賀県,その県境付近をドライブウエイが走っていることになる。標高1377mの頂上近くまでバスで登り,山頂までの遊歩道を花を見ながら散策することになる。

 頂上付近は霧がかかっている。雨の多いところで,冬期の積雪も相当なものらしい。「積雪の日本記録を持っている」とガイドが言うので,調べてみた。
 最大日降雪量(1日に降った雪の量)230cm(1975.1.14伊吹山)
 最深積雪(積もった雪の深さ)1182p(1927.2.14)  (日本気象協会『気象の暦・統計』)
 いやあ,ガイドもよく勉強している,いずれも山岳の記録として日本一である。日本海から吹き寄せられた水蒸気がこの山系を昇って冷やされ,大雪をもたらすのだそうだ。

 頂上に着いたところで雨になった。みんなその覚悟はできていたらしく,雨具を身につける。多分たいした雨ではないだろうと思いながらも,私も雨具を着る。
「伊吹山(1377m)は決して高い山ではありません。しかし,8合目以上に温帯および亜高山性の美しいお花畑が見られ,約300種類の植物が色とりどりの花を咲かせます。」(「伊吹山お花畑植物ガイド」より)
 雨が多い地方ということで,しかたがないかと雨具を身につけたが,登るうちに空模様はよくなってきた。足元は石灰岩がゴロゴロしていて,ずいぶん歩きにくい。
 シシウドがある。漢字で書くと「猪独活」。大きな白い花を,頂上に至るまでその姿を見せつけていた。ホタルブクロも咲いている。平地のものと比べると,背は低く白花が目立つ。

 少し上ると雨は上がって,暑くなった。1000mを越えるこの地でも,雨具をとっても汗が滴る。清末先生の話を聞きながらゆっくり頂上に向かっている私達だか,次第に蒸し暑さを感じるようになる。
「やっぱり少し早いのでしょうか。このあたりは,真っ赤になってくるのですが。」
 山頂に向かってお花畑が広がる。
「でも,その時々の花を見てください。伊吹山のお花畑といってもその時期によって見えるものは違います。年によっても違います。今日のお花畑もとてもいいと思います。」
 花の説明を一つ一つ聞きながら,頂上までのゆっくりした足取りが進む。 (続く)