そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.347  伊吹山散策3

 雨はすぐ止んで,雨具を着ていると暑くなった。脱いでリュックサックに入れる。左は山頂の側になっていて,多くの花が見られる。オオバギボウシ(これの若い花芽が食べられる,ということがバスの中で話題になった。私は先日実際に鹿野で食べた。しゃきしゃきしておいしい。),シモツケソウ,コイブキアザミ,ミヤマコアザミ,アカソの群落。
「このあたりは真っ赤になりますから,それを見るには少し早いのかもしれません。でも,時期によって,咲く花が違いますから,その時々の楽しみです。」
と,清末先生。
 右側は斜面になっていて,登って来た道が蛇行している。私達の後にも大勢の観光客が続いているのが見える。
 
 フウロソウ科の花も見られ出した。エゾフウロ,イブキフウロ,ヒメフウロも観察できた。サラシナショウマは,ぐんと花茎を伸ばしてお花畑の中を眺めている。足元にはクサフジも見られる。以前の観察会で見たコウゾリナもあった。
 頂上近くなって,キンバイソウ,メタカラコウ,ニッコウキスゲ,キバナノカワラマツバなどの黄色い花が目立つ。クガイソウは,頂上付近で見事に薄紫に色づいたのを見ることができた。

 頂上でしばらく休憩。店で小さな「植物ガイド」2冊(というより2枚・写真と簡単な説明つきの折りたたみパンフレット・1枚100円)を買う。下りは早いが,段々の歩幅と高さにくたびれる。頂上トイレは有料(100円程度)だったので,ちょっと我慢して下りたら水分が汗となって汗だくだった。(「有料トイレ」というのを見てくればよかった)

 私達があとでメモや写真で確認できたのは20種類くらい。清末先生が発表されたのでは,40種類近くもあったということだが,自然が守られているからこうした亜高山性の植物が毎年美しい姿を私達に見せてくれるのだろう。
 しかし,こうした自然環境を護るのもなかなか難しくなってきている。いつのまにかセイヨウタンポポが繁殖し,セイタカアワダチソウが入りこんでくる。生態系を壊そうとする人はないとしても,観光客が入るということだけでもそうなってしまうのだ。自然を護ることの難しさを痛感させられる。

 今回の伊吹山散策は,雨の影響はまったくといっていいほどなく,登山客も比較的少なく,先生の話を存分に聞きながら観察することができた。春の訪れは遅く,短い期間に多くの花を見るこの地を,今度は時期を少しずらせて来てみたいものだと思う。
 往路,あれほどしゃべっていたガイドは,帰路はテレビの録画放映に任せて黙っていた。平日の旅行のため渋滞等もなく,予定より30分以上早く帰宅できた。(終わり)