そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.358  イングランド夏紀行2
二 エリザベスホテル
 1 長い昼
 30分ほど出発が遅れた飛行機だったが,香港には予定より早く到着した。ここでロンドン行きに乗り換える。1時間の時差があるが,出発までそんなに時間がないから,腕時計の時間合わせはやめて,空港の時計で行動することにする。
 ここからロンドン・ヒースロー空港まで約13時間,長い長い空の旅である。
 途中の食事、成田・香港間に朝食,軽食(おやつのような感じの食事なのだろう)一回ずつ。香港・ロンドン間に遅めの軽食と夕食一回ずつ。いつも感じることだが,これが食べられないんだなあ。時間で計算すればそうなるのかもしれないが,食欲はそうはいかない。食べたいものだけ食べて「ご馳走様」。いつも残してしまって申し訳ない。
 アジア大陸のモンゴルの方向に向かっているらしく,機体はかなりゆれる。飛行機は西に向かっているので,夜に行きつかない。窓を閉めて機内は静かになる。ヒースローに近づいて,低空飛行。ロンドン20時35分(ロンドン時間)着。予定より30分早く着いた。
「市内の移動は大体地下鉄となる。」
と,長男が言っていたとおり,このヒースロー空港からの移動も地下鉄である。なんどか乗り換えもあるから,トランクを持ってはかなりきつい。もちろんキャスターはついているが,階段の部分もある。長男が心配して自分のトランクと変えてくれた。私のトランクの方が重いという。
「そう変わらないと思うんだがなあ。」
と,私は言ったが,実際重いということが分かったのは帰りの空港でことだった。
 エリザベスホテル(Elizabeth Hotel)はヴィクトリア駅の近くにある。ヴィクトリア駅はロンドンに8つあるターミナル駅のひとつ。イギリス各方面に出るバスターミナルもある。旅行者のためのいろいろな施設も整っているという。ホテルはそこから7・8分のところにあった。
「緑が多く,ヴィクトリア駅周辺では環境がよいホテル。中庭もあってロンドンの中心部にいるとは思えない感じ。館内にはイギリス代々の王や歴史的人物の肖像画がかけられている。全40室で部屋はシンプルな造り。」(ガイドブック「地球の歩き方 ヨーロッパ」)
 長男の妻のK子さんはイギリス留学の経験があるので,私たちがまわりの肖像画などをきょろきょろ眺めているうちに,ホテルのチェックインの手続きをしてくれる。
「今晩一晩は,これまでの泊り客の関係で少し狭いが我慢してほしい。明日はキッチン付きの広い部屋に移れるから。」
 ということで階段を上がったところの部屋に入る。なるほど,ダブルベッドひとつの部屋でこれでは1週間は苦しいだろう。どうせ明日は部屋を変わるのならあまり荷物を出すのはやめよう。早く休もう,とベッドに入ったのはもう12時。長旅で疲れている。今朝,幕張のホテルで起きたのが5時。今は夜の12時。ところがところが,日本とイギリスには8時間(サマータイムの1時間を引いて)の時差があるのだ。飛行機でほとんど眠れなかった私は,28時間起きて過ごしたのだ。ああ疲れた。