そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.362  イングランド夏紀行7
四 Musicals
2 オペラ座の怪人
 ミュージカルについてまとめて書いておこうと思う。今回のイギリス旅行の大きな目玉でもあるからだ。「雨に唄えば」は、最初からの予定にはなかったが,「オペラ座の怪人」と「ライオンキング」は,なんとかチケットを取るからと,長男たちが努力してくれたものだった。開始時刻より少し早くシアターに着いたので,軽く飲み物を飲む。せっかくのイギリスだからウィスキーを頼む。氷で冷えて心地よい。
「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera)は,ハー・マジェスティーズ・シアター(Her Majesty's Theatre)で10年以上人気を保ちつづけているアンドリュー・ロイド=ウェーバーの傑作だという。その劇場で見るのだからそれだけでもすごい。
 19世紀末のパリのオペラ座で,クリスティーヌという若手歌手に怪人が恋をする。神出鬼没の怪人と続発する怪事件。映画をビデオで前もって見ていたので,話の筋の大体は分かった。舞台での演技なので,映画のような残酷さはなく,きれいである。
 最前列の席で見ることができた。舞台下では生演奏をしている。指揮者だけが舞台の動きを見ながら指揮をしている。やっぱり生演奏はすばらしい。
 さて,どうしてこのような怪奇ものが超ロングランになっているのだろう。
「イギリス人は世界一の幽霊好き」という話がある。「ロンドンには幽霊の名所がいっぱいある」とも言われる。確かに市内をバスで観光する途中,幽霊屋敷(だと思う)の前に並んで入場を待つ多くの人たちを見かけた(写真)。
 でも,日本でも同じことなのかもしれない。特に夏場は,日本でも幽霊屋敷が流行るからなあ。怖いもの見たさということなんだな。どこの国の人たちもそういうことに対する興味は変わらないのかもしれない。だが,日本の幽霊はその字のごとく「幽かなもの」である。イギリスのもの(欧米共通しているのかもしれないが)は,フランケンシュタインなどに象徴されるように「怪物」「怪人」なのである。この幽霊の文化の違いが何に起因するのかちょっと興味があるが,また何かの機会に考えて見ることにしよう。
 ミュージカルが終わって,観客は総立ちで拍手をおくった。私たちは,最後まで演奏を聞いてまたまた拍手をおくった。
 シアターの外に出ると,雨が降ったらしい跡があった。朝も昼も,少し雨が降った。ようやくイギリスらしい天気になってきたのかもしれない。