そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.363  イングランド夏紀行8
四 Musicals
3 ライオンキング(ライシアム シアター)
「ライオンキング」(The Lion King)は,そのもとはディズニー映画である。舞台はアフリカ,ライオンを主人公にした動物物語,と言ってしまうとなんとなくちゃちな感じがするが,子どもたちにもとても人気のあるミュージカルである。このシアターにも多くの子どもたちがいた。そういう面では,ちょっとリラックスして見ることができる雰囲気だった。子どもたちが見ても十分にわかるストーリーだし,何よりもその衣装・舞台装置といい動物たちの動きといい,目をみはるものがあるのだ。言葉をほとんど理解できない私たちにも十分に楽しめた(事前に見たビデオとは内容が少し違っていた)。
 しょっぱなの女呪術師の唄う「サークル・オブ・ライフ」(エルトン・ジョン作曲)はすごい。この唄を聞いただけで私はアフリカに入りこんでしまう。
 ステージからの呼びかけに応ずるように,動物たちが観客の後ろから通路を通って入場してくる。私たちは通路の横の席だったから,動物たちが入場するのを肌で実感した。
 ライオンの王とその子ども,王位をねらう王の弟,ストーリーとしては単純だが,どこの国にも,いつの時代でもある話。それだけにこのミュージカルはアメリカに発して,世界各地で上演されているらしい。しかも舞台はアフリカで,登場してくる多くのキャストが有色人種(黒人)。内容と舞台がピッタリしている。なんでもこのミュージカルをするにあたって,有色人種を使うという条件があるとか。
 日本では劇団四季が上演中で,このページを書くのに帰国後Iさんの資料を参考にお借りした(イギリスのパンフレットだけしか手元になく,全部英語版で内容の読み取りに自信がなかった)。四季のものでは,ほとんどの登場人物は日本人のようだ。なるほど,日本人も有色人種だから条件には合うわけだ。
 その色取りといい立体感といい,面や人形を使っているところといい,新しいミュージカルの技法なのではないか。多分ディズニーのアニメより見応えのある作品になっているのではないかと思う。
 ここ何日か歩きすぎて,足に豆ができていたが,そんなことは忘れてしまうほどの感激に浸っていた。