そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.371  イングランド夏紀行11

 六 ケンブリッジ
 
 1 大学の町
 
ケンブリッジ観光には一日を当てた。昨夕からの雨がかなり強くなって,テレビで見ると大雨注意報が出ているところもあるらしい。しかし,午後には止むだろうと言葉は通じないが言っているような気がする。予定通りに進めよう。
 イギリスと言えばロンドンで大都会の様子しか浮かばないけれど,ロンドンを一歩出るとヨーロッパによく見られる田舎の風景が広がる。
 そんな中を鉄道が走っている。「鉄道の誕生の地はイギリス」というのが定説になっている。1900年頃にはグレート・ブリテン中南部には鉄道網が張り巡らされている。以前は国鉄(British Rail)によって運営されていたが,現在は25社ほどの鉄道会社によって分割運営されている。日本と同じ状況がうかがえる。
 ロンドンからケンブリッジまで100キロばかりだろうか,ノンストップで50分ほどで走った。
 ケンブリッジは大学の町として知られる。
〜〜「大学はどこですか?」ケンブリッジを訪れる人の多くが,こう質問します。しかし,どこか一方向を指さすことは誰にもできません。講堂,図書館,研究室,博物館,事務諸等は町中にあり,キャンパスといったものはありません。そして,ほとんどの学生やドン(教師,行政官,特別研究員)は,31校の自治コレッジに所属します。(ケンブリッジ観光案内ガイドブックより)〜〜
 それらをまとめてケンブリッジ大学というらしい。このコレッジを中心に見て回っても1時間半以上はかかるという。大学の建物に限らず,ヨーロッパの人たちは,建築に時間と金を使うことをいとわない。これらのコレッジ建築には7百年の年月がかかっている。中でもキングス・コレッジ礼拝堂(写真)は,ケンブリッジで最も壮大・華麗な建築の一つになっている。礼拝堂は,奥行き88メートル,幅12メートル,天井の高さ24メートル,高く美しい扇形の天井に圧倒される思いだ。
 大学全体では,学生が1万人以上,大学院生が3500人,ドンが1700人という。
 ニュートン,ダーウィン,ミルトン(叙事詩「失楽園」の著者)等もここで学んでいる。トリニティ・コレッジの校門横に「ニュートンのりんごの木」というのがあった。しかし,高さ3メートルほどしかない。これは有名なりんごの木の末裔だといわれているのだそうだ。
 なんにしても世界に知られる大学・学問の町だ。20世紀になってからでも60人以上がノーベル賞を受賞している。