そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.371  イングランド夏紀行11

 六 ケンブリッジ
 
  2 ケム川とビール
「ケム川のパント船の川下りをする予定」と長男が言う。なんのことだかわからない。調べてみると,ケンブリッジの市街を流れるケム川を、街並やコレッジを眺めながら観光するするパント船遊覧というのがあるらしい。ケム川とコレッジの関係は漕艇でつながっているようだ。漕艇はケンブリッジの伝統的なスポーツで,コレッジの多くが川岸にボートハウスを持ち,練習に励んでいるという。そういえばオックスフォードとケンブリッジのボートレースがあったように思う。
 パント船の案内のお兄さん(年齢は分かりません)が乗り場まで案内してくれた。少しすると数人の日本人と,大勢の中国人らしい観光客がやって来た。私たちは日本人だけの観光客で乗り込む。底はそう深くはないらしく,棹(日本だったら竹竿ですがイギリスはなんでしょうか)で突きながら進む。橋,コレッジ,街並みなど,ケンブリッジの違った側面からの観光である。時々さっきの乗り場で出会ったらしい観光客の乗った船と出会う。えらいにぎやかだ。漕法を誤ってぶつかったり,川に落ちたりすることもよくあるという。
 ケム川の近くのパブで昼休憩。ここのビールは地ビール(というのかな)。
〜〜イギリスでパブに入って,生ビールを呑む時に,まず一般的なのはビターである。文字通りホップのビター苦味が強く,独特のクセがあり,濁りやオリが見られることもあり,冷やしてもなく,殺菌もしてないから,永持ちもしない。文字通りの「ナマ」である。(小池滋「英国らしさを知る事典」より)〜〜
 その土地のものはできるだけ試してみることだ。ここの単位はパイント(1パイント=570cc),一人ひとりが注文する。確かにそんなに冷たくはないが,悪くない。味があっておいしい。フィッシュアンドチップスを(文字通り) 肴に飲む。雨はすっかり上がって暑いばかり。こんなときやっぱりビールはうまい。
 少し自由時間となる。本屋さんによってみよう。もちろん英語の本は分からないが,絵本を探してみたい。なかなかそんな本屋さんは見当たらなかったが,ここでも小さなお土産を町立図書館に買った。
 少しコーヒーでも飲んで休もうか。スターバックスの店があるからと見当をつけてきたのに見当たらない。いやよく探したら(店員に聞いたら)文房具店の二階にあった。なんでこんな分かりにくいところにあるのだ。もっとも、口にできたのは苦いエスプレッソだった。これもおいしいんですけどねえ,ちょっと甘味がほしかった。