そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.380  町誌編纂


 町誌編纂のことについてはこれまでにも触れたが,私も執筆者の一人になっている。他の執筆者の原稿の世話で,なかなか自分のことが出来なくて実際のところ困っている。ここ2週間ばかり,「気多郡郷村帳」にかかりきっていた。これは現青谷町の伊藤某という人の書いた郡内の村の紹介文。もちろん古文書(江戸時代)なので分かりにくい文字がたくさんある。

因幡國栗喰娘ノ□ニ何ノ入道トカヤトコレ有ルハ此入道ノ由云傳レモ慥ナル?ナシ案スルニ鹿奴ノ観音寺ノ観音佛ハ記氏郷ノ女櫻媛ノ作ナリ櫻媛ノ住処ハ水谷村ノ傍尓ニ櫻谷ト云フ処ロニアリ然ハ木入道ハ記入道ニテ氏郷ノ一族ナルヘキカ

こんな調子である。まだ正しい文章になっているかどうか怪しい所もあるが,まあこんなのはいい方だ。「□(こと)」なんて私は知らなかった。でも同じ漢字にいくつか出会うと,「こんな読み方かなあ」と考える。字典を調べると載っている。分からないのもたくさんある。しばらく考えてあきらめる。後でふと思いつけば,あてはめてみる。調べてみる。
厄介なのは,漢字と片仮名で書かれていることだ。パソコンは片仮名に弱い。片仮名入力して漢字変換すると,ひらがなに返ってしまう。もう一度片仮名で入力しなければならない。

すべて手書きだから,書き手の癖がそのまま出る。上の文章でも,「処ロ」とある。「処」だけでも「ところ」と読めるが,これは書き手の癖。慣れるまでには悩んでしまう。文章自体にも癖があり,話も氏神のことなど多いから,分からないことがたくさんある。漢和字典を手元において,一日中パソコンに向う。

パソコンのいいところは自分で覚えるところだ。最近繰り返し使ったものは覚えてしまって,わりとスムーズに出てくるようになる。そこまではいい。困るのは,すぐには忘れないことだ。「こと」と入力すると,「□」と出てくる。
これは教育委員会のパソコンだから,我が家のものではなるべく入力しないようにする。でも,その仕事が一応終わって,普通の入力になった。忘れられないパソコンが,ひらがなが欲しいところを片仮名で出してきたり,言葉を忘れていたり。パソコンよ早くこのわけの分からない文章を忘れてくれ。

原稿用紙にして70枚以上。集落紹介のところなどに使えるのではないかという。まあ原文とよく比べて,私の分らなかったところを直しながら使ってください。
なお,この文章にもそんなところが見つかるかもしれません。