コスモスの花遊びをる虚空かな 高浜虚子
コスモスのシーズンである。我が家の庭にも,勝手に生えているのが勝手に広がって咲いている。
よく休耕田を見事なコスモス畑にしているのを見かける。
「よし,うちでもやってみよう。」
と,毎年よさそうな花の種を取って,
「来年は7月ごろに蒔いてきれいなコスモス畑にしよう。」と思うところまではよいのだが,あくる年になると,ころっと忘れてしまって,またまたバラバラで延び放題のコスモスばかりになってしまう。
メキシコ原産のキク科の1年草。わが国には明治12年に伝えられたのだそうだ。
「学名はコスモス属ビピンナッツ種。属名のコスモスは,ギリシア語のコスモス(美しい,飾りの意)に由来し,種名は『2回羽状の』といった意味。葉の状態からの命名で,コスモスの特徴をよくとらえています。」(「花を贈る事典 366日」西良祐)
実に強い植物で,肥料をやらなくても,水をやらなくても季節になるときちんと花を咲かせる。なよなよとした茎もたいへん丈夫で,風で倒れても,根が半分地面に出ていても,倒れたままで上に延びていって花をつける。
しかし,日が短くなると咲き始める「短日性植物」なので,外灯などがついて夜も明るくなると咲かなくなってしまうことがある。もっとも日の長さに関係なく花をつける種類のものも作られているというが。
花の形が桜に似ているところから,アキザクラ(秋桜)の和名ももらっているというが,あの群がって咲いている様子も桜に似たところじゃないのかなと思う。
さだまさし作詞作曲の「秋桜(コスモス)」もあった。
淡紅の秋桜が秋の日の 何気ない日溜りに揺れている
この頃涙もろくなった母が 庭先で一つ咳をする
縁側でアルバムを開いては 私の幼い日の思い出を
何度も同じ話繰り返す 独り言みたいに小さな声で
この詩の中のコスモスは,多分コスモス畑のようなものではない。そして,たった一度しか出てこないけれど,この詩全体を象徴するような働きをしている。
一株には一株の,群生には群生の,コスモスにはそんな美しさがある。
花言葉「乙女の真心」。
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