そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.385  シコンノボタン

 台風一過,久しぶりにいい天気になった。野菜が長雨のために暴騰しているというが,我が家の野菜も例外でなく,蒔いた野菜の芽が出ない。やっと出ると害虫にやられる。消毒しようにも雨のためにできない。それでもやっと晴れた。野菜は天気にまかせよう。

 この間から庭の花をカメラに収めている。
 我が家のシコンノボタンが,秋の日をいっぱいに受けて咲いている。
 何年も鉢植えしていて,ずっと花をつけていたのだが,去年の冬の寒さにあって,すっかりだめになったのではないかと思っていた。それでも何とか生きているかもしれないと,鉢をそのままにしておいたら,新しい芽を出してきて,立派に花をつけた。植物のこのような生きる力には,驚かされることがよくある。

 そういえばノボタンというのもあった。
「ノボタン」は「野牡丹」と書く。ノボタンはノボタン科ノボタン属の常緑低木。この果実を食べると口の中が暗紫色になることにちなむとか。シコンノボタンは「紫紺野牡丹」,漢字で書くとこうなる。野牡丹の仲間で色の違いなのかと思っていたが,どうも違うらしい。

 ノボタンは学名でメラストマ属カンディドゥム種。
「よく似たものにシコンノボタンがあり,野牡丹とも呼ばれるので混同されていますが,こちらは南米原産で本来の野牡丹とは別種です。英名のブラジリアン・グローリーブッシュが示すように,花も豪華で艶があります。シコンノボタンは漢字では紫紺野牡丹と書き,その名が示す通り,花色は紫紺色。花期が長く,夏から晩秋まで咲き続けます。同じノボタン科ですが,学名はティボウキナ属ウルビレアーナ種になっています。」
『花を贈る事典』の中で西良祐氏はこう書いている。なかなか面倒なことだ。しかし,花一つ眺めてみてもきれいだ。

 秋植えの球根を花壇に植えた。チューリップ,スイセン,ムスカリの3種類だ。春に咲いたものの球根が増えて,全部で300もあるだろうか。もっとも,咲くだけ咲かせたので球根はあまり大きくなってはいない。また,強い種類のものが残っていくのが生物界の常だから,同じような色のものになるかもしれない。まあ数で勝負だ。
 花壇に植えられるだけ植えて,残りは鉢やプランターにぎっしり並べて植えこんだ。うまく咲けばこれも見事になるのだろうが。春が楽しみなことだ。